問わず語りの松之丞
昨年の3月末の、日曜日の夜だったと思う。
車を運転しながらラジオを聞いていたら、…もちろんTBSラジオですよ!…いままで聴いたことのないようなラジオのパーソナリティーの語りが面白くて、つい引き込まれてしまった。
まだ番組の途中だったのに家に着いちゃったもんだから、家に帰ってからもラジオを付けて、その番組を聴き続けた。
こんなことって、あまりないことなんだけどね。
それが、神田松之丞の「問わず語りの松之丞」という番組だった。
ちょうど、第1回、というか、パイロット版みたいな放送を、たまたまナマで聴いていたのだ。
つまり松之丞が初めてラジオに出たときの瞬間を、リアルタイムで聴いていたということになる。
で、このときの直感って、すごいもんだねえ。その後、神田松之丞はすげー売れて、いまや講談界の風雲児なんて呼ばれちゃった。
そういう意味で言えば、神田松之丞を見いだしたのは、俺ですからね!
まあ冗談はさておき。
このブログでも何度か、ラジオ番組「問わず語りも松之丞」のパロディー風の記事を書きましたけどね。
松之丞が面白い、なんてことを言ったら、義妹がどっぷりハマってしまいましてね。
先日、「『ペンプラス』をすでに買いましたんで、買わなくてもいいです」と言われたんですが、何のこっちゃわからない。
で、聞いてみると、『ペンプラス』という雑誌の最新号が、「完全保存版 1冊まるごと、神田松之丞」という特集だというんです。
いやいやいや、『ペンプラス』という雑誌名も初めて聞いたし、神田松之丞に対しては、ラジオは好きだが、そこまで思い入れがあるわけじゃないよ、こっちは。
…と思いながらも、その雑誌を借りて読んでみました。
すると文字通り、1冊まるごと、神田松之丞の特集です。
もうドン引きするぐらいの、これでもかという特集記事。
さすがの熱烈な松之丞ファンの義妹も途中で読むのをやめてしまったようです。
さてこの特集の中で、個人的にいちばん興味深かったのは、伊集院光との対談でした。
神田松之丞のラジオを聴けばわかるように、彼は明らかに伊集院光の影響を受けています。
で、まあそのあたりの関係性を念頭に置きながら読むと、これがなかなか興味深かった。
たとえば、自分に置き換えてみると。
自分と同じようなテイストの後輩があらわれて、しかも自分よりも進化している場合、自分はこれからどうしていけばよいのか?
そんなことを考えさせられる対談でありました。
内容はその雑誌を読んでもらうとして、僕がいちばん印象深かったのは、インタビュー記事のいちばん最後で伊集院光が語っていたことです。
「最後に大先輩としてアドバイスをいただけるとうれしいのですが」という松之丞の問いかけに、こんなことを言ってました。
「迷ったらしゃべることかな。それも全部。最近、師匠が弟子をとる意味がやっとわかったんだよ。師匠は弟子に言うことで確認してるの。先輩と後輩もそう。だから今日話したことは、自分に言いきかせてる(後略)」
これってむかし、「ダウンタウンDX」で、上岡龍太郎がダウンタウンに言ってたことと、まったく同じことだってことに気づいたんです。
「弟子はとった方がええで。自分に返ってくるから。弟子に言うことで、自分に言いきかせることができる」
みたいなことを言っていた(前に、ブログのどっかに書いたと思うんだが、見つからない…)。
僕が教員稼業をしていたとき、やっぱり同じ境地に至ったことがあるんですよ。学生に言ったことは、全部自分にはね返ってくるって。
たとえば、あまりにも他人と比較しようとして落ち込んでしまう学生がいたときに、
「他人と比較したって何の意味もないよ。自分は自分なりのやり方があるんだからさ」
とかなんとかアドバイスしていたのだが、それはそのまま自分にもあてはまることだったり。
だから当時は、学生に話すことで、自分に言いきかせていたんですね。
ところがいまはどうだろう。
語るべき学生がいなくなってしまったので、自分に言いきかせる機会が、すっかりなくなってしまいました。
何が寂しいかと言えば、いまはそれが寂しいね。
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コメント
(訂正)末の丞→松之丞
で、ラジオ周りの最近の関心といえば、
文化放送の「SHIBA-HAMAラジオ」ってどう?
なんですけど。
投稿: 瀧川こぶ八 | 2018年11月 1日 (木) 07時16分
ラジコのタイムフリーにもラジオクラウドにもあがっていないみたいなので、まだ聴けておりません…。
投稿: onigawaragonzou | 2018年11月 2日 (金) 00時25分