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心の中を流れる音楽

10代のころからずっと、心の中を流れる音楽がある。

その音楽は、心が穏やかな時、とか、心を穏やかにしたい時、とかに、決まって流れる音楽なのである。

そうねえ。たとえば夕暮れ時。

自転車をこいで家路を急ぐ時なんかに、よく心の中を流れていた。ま、最近は久しく自転車に乗ってないんだけれども。

心がホッとして、ちょっと前向きになれるような曲。

「たーらーらーたららーたららー、たらららたららーたららー、たらららた~ら、たららた~ら、たらららた~らら、ポンポンポンポンポンポンポン」

といった感じの曲なんだが、何の音楽だったのか、まったく思い出せない。

何かのCMで流れていた音楽だったような気がする。

まったく思い出せないまま、いまも、何かの折にずっとこの音楽が心の中を流れることがあった。この音楽が流れると、ホッとするのである。

で昨日、ふとしたことで、この音楽の正体がわかった。

きっかけは、高倉健の「不器用ですから」というCMを動画サイトでさがしたことにはじまる。

このCMの音楽を担当したのが、YMOのホソノさん(細野晴臣)だった。

ちょうどYMOが散開することだったと思う。

このCMの音楽、YMOの散開記念アルバムの中で教授(坂本龍一)が作曲した、「Perspective」という曲と、とてもよく似ているということで、当時、ひそかな話題になっていた。

聴いてみてわかるように、冒頭部分の旋律は完全に同じである。

ホソノさんが教授の曲をパクったのではないか?とささやかれたりもした。

真偽のほどは定かではないのだが、こんな話も聞いたことがある。

あるとき、ホソノさんがCM音楽の依頼を受けた。

依頼主はこともあろうに、ホソノさんに

「坂本龍一さんの『戦メリ』のような曲をお願いします」

という依頼の仕方をしたというのである。

ふつうならば、こんな依頼のされ方をしたら、怒るはずである。

少なくとも僕だったら、怒るだろうなあ。

でもホソノさんは、飄々とその仕事の依頼を受けて、教授の作風の曲を作った、というのである。

ほんとかどうかはわからない。

僕はこの「不器用ですから」の高倉健のCMを、久しぶりにある感慨をもって見たのである。

で、立て続けに高倉健の出演したCMを見ていたら、なんと、ついに!というか、偶然にも「心の中を流れる音楽」を、見つけたのである!

これこれ!この音楽ですよ!

ネスカフェのゴールドブレンドの高倉健バージョンのCMだったのかぁ!

この音楽について調べてみても、このCMで流れていた以上のことはわからない。

つまり、この音楽は、このCMだけに使われたオリジナル曲のようである。

しかも不思議なのは、ネスカフェゴールドブレンドといえば、

ダバダ~♪

という歌ではじまる「違いがわかる男」シリーズのCMがお決まりではないか?

高倉健のCMは、それとはまったく異なるのである。

「珈琲が好きです」

という、実にシンプルなCMである(実際、高倉健が大の珈琲好きだったことは有名である)

これはいったい、どういうわけだろう???

ここからは僕のまったくの妄想。

あるとき、高倉健のもとに、ネスカフェゴールドブレンドのCMの出演依頼が来た。

高倉健は、1つの条件を出した。

出演するに際して、「違いがわかる男」のパターンは、こっぱずかしいんで、やめてほしい。

見ていて、ホッとするようなCMにしてほしい。なぜなら、自分もコーヒーを飲んでいるときが、いちばんホッとするから。その気持ちが伝わるようなCMにしてほしい。

…そういったわけでできあがったのが、上のようなシンプルなCMだったのではないだろうか???

だから音楽も、ダバダ~♪ではなく、ホッとする感じの曲に変わったのである。

…もちろん、これはまったくの僕の妄想。

ただ、ひとつ間違いなく言えることは、30年以上経ったいまもなお、このCMで流れていた音楽が僕の心の中に流れていて、この曲が流れるたびにホッとする、ということなのである。

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コメント

Cメジャーのスリーコード進行。
フォービート。
クラリネット!!
コーラスよりバースの方がキャッチーだが、コーラスのストリングスもロマンチック。


(参考)
http://kame.air-nifty.com/kamelog/2018/11/k-popk-pop-a237.html

投稿: 訳あって現在、心の中を流れる音楽も分析せずにいられないこぶぎ | 2018年11月24日 (土) 21時04分

CM映像をよく見てみよう。

健さんはワイシャツにネクタイと、サラリーマンの格好をしている。

後ろにはテーブルでなくてデスクがあり、その上に作業用のデスクライトまで置いてある。そして、デスクや背景色がグレーである。

これらのことから、健さんがいる場所は、会社のオフィスということになる。

デスクライトがついていることから、一見、時間は夜と思うかもしれないが、BGM曲のキーはCメジャーと、明るく力強い音階を使っていることから、明るい日中の出来事であることが示されている。

大体、床には健さんの影が映っている。太陽が上にある証拠だ。影の長さから察するに、午後3時くらいだろうか。

とすれば、デスクライトがついているのは、今が勤務時間中であることを示しているのだろう。

そして、健さんがネクタイを緩めていることから、仕事の合間の休憩時間であることが分かる。

一息ついたらまた仕事に戻るので、ネクタイを再び締められるように、少しだけ緩めたのである。

健さんが画面の左側に消えてから、陶器がぶつかる効果音が入っていることから、健さんは部下にお茶くみを頼まないで、自分でコーヒーを淹れている。

なぜか。それは健さんが不器用だからでない。

「珈琲が好きです。」だからだ。

それはBGM曲のコーラス(サビ)部分の映像からも分かる。

ロマンチックなメロディのコーラスが流れる際に画面に写っているものは、なんとコーヒーカップの中のコーヒーそのものである。

これは健さんが、誰か人間とではなく、他ならぬコーヒーと恋に落ちている、ということを示している。

全ては、CMコピーの「珈琲が好きです。」につながっているのだ。

というわけで、このCMが提案しようとしているのは、午後の職場で仕事の合間にコーヒーで一息入れてほしい。そして健さんのような管理職世代のコーヒー好きには、ゴールドやエクストラといった、値段高めのブランドの美味しいコーヒーを飲んでほしい、ということである。

ところが、「ダバダ~」の曲名が「めざめ」であることからわかるように、この曲を使ってしまうと場面設定が朝になってしまうので、今回のCMの企画意図と合わない。

オリジナル曲を使っているのは、そのためであろう。

惜しむらくは、健さんの衣装とセットの色が同じグレー系で、いわゆる「ミニマリズム」の映像ディレクションとなっていることだ。

これでは、せっかくの健さんが目立たない。

代わりに目立つのは、赤とゴールドの鮮やかな色のコーヒー瓶ということになる。

つまり、健さんも背景セットの一部で、主役はあくまでも商品ということが徹底されている。

それにミニマリスティックな演出にすればスタジオセットの費用が安くなるので、その分、健さんのギャラに予算を割けるという利点もある。

外資系のクライアントだけあって、コピーライトもCM台本もBGMもまったく合理的で、一切隙がない。

こういうCMを映像分析した後こそ、コーヒーでも飲んで「ほっとしたい」と思うのは、筆者だけではあるまい。

投稿: こぶぎPD | 2018年11月24日 (土) 23時56分

1分くらいのCMを見せて分析をさせるというのは、授業でやってみるとおもしろそうだね。

このCMの曲を作曲したのは誰か?とか、音源はいまどうなっているのか?といった謎は、さすがの明智こぶ郎探偵をもってしてもつきとめられないんでしょうね…。

投稿: onigawaragonzou | 2018年11月26日 (月) 00時33分

「網走番外地」の縁で、ダバダーの「めざめ」を作曲した八木正生に依頼したのかと思いましたが、元々ジャズ畑の人なのに、健さんのCM曲にはベースが使われていないのでジャンルが違うかも。

使用楽器はクラシックですが、曲の形式的にはクラシックというよりポップスで、コーラス(サビ)でなく曲の冒頭に印象的なシークエンスを持って来ているので、CM曲を作り慣れている人ではないかと。

JASRACのデータベースを検索してみましたが、よく分からないので、「ヤフー知恵袋の人」のように、メーカーに直接問い合わせてみればどうでしょう。

https://ja.wikipedia.org/wiki/八木正生#CM

投稿: こぶぎPD | 2018年11月26日 (月) 13時15分

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