代打講話
11月18日(日)
うちの職場に、50人ほどの団体が来るので、30~40分ほど喋ってほしいとの依頼が来た。
もともとは、その団体の代表をつとめている先生と懇意の同僚に来た依頼だったのだが、その同僚が、この日は別のイベントで忙しいということで、僕が引き受けることになった。
また、代打だ(笑)。
どういう団体かというと、書道を趣味にしている人たちの団体らしい。
「訪問日は11月18日(日)、人員は52名です。
当日は、昼前にうかがって少し見学ののち、食堂で昼食、そして13時30分から鬼瓦先生のお話を聞き、その後またしばらく見学して帰途に就くという予定です。
先生のお話は30-40分程度のお時間と予定しましたが、終わりの方は先生にお任せします。
お話の内容ですが、先だってもお伝えしましたように、大部分が家庭の主婦で老境に入る人たちですので、専門知識は皆無です。しかし、字を書く趣味を長く続けてきておりますので、そのあたりのお話しをいただき、現在開催中のイベントについてのお話につなげていただければ、一同大いに学ぶところがあり、喜びは大きいと思います」
うーむ、困った。
専門知識が皆無の人に、30~40分程度、書を趣味とする人の心をくすぐるような少し専門的なお話しをする、というのは、なかなか難しいお題である。
昨日までは、国際シンポジウムのことで頭がいっぱいだったので、この日のことについてはずっと先送りにしてきた。
これはマズいと思い、今日の午前中かかって、パワポや配付資料を作成して、講話の組み立てを考えた。ちょっとワークショップ的なことをやることも思いついた。
午後1時過ぎ、昼食を終えたその団体の人たちが、三々五々、会場に集まってきた。
団体の代表の先生と、その下にいる幹事長のご婦人が挨拶に来た。
幹事長のご婦人が僕に言った。
「本日はよろしくお願いいたします」
「よろしくお願いいたします」
「みなさん、先生の講話を楽しみにしております」
「そうですか」
「先生のお話の前に、私が簡単な司会をいたします、そのときに先生のことをご紹介したいのですが、…何とご紹介したらよいでしょうか」
僕は代打なもんだから、代表の先生も、その下の幹事長のご婦人も、僕のことをまったく知らない様子だった。
「立派な先生、とご紹介すればよろしいでしょうか」
幹事長のご婦人は、大まじめな顔をして言った。
「いえ、それは勘弁してください。ここのスタッフだと言ってくだされば十分です」
先方も僕のことを知らなければ、僕も先方の団体のことを知らない。
こうした関係性の中で行われる講演は、実は嫌いではない。
これこそ、一期一会の講演である。
「たまたま聞いた話がおもしろかった」
という講演が、僕にとっての理想の講演なのである。
さて、52人の団体客さんは、書を嗜んでおられるだけあって、とても上品な方ばかりだった。
凝りに凝ったプログラムを考えたため、30~40分の予定が、50分かかって講話を終えた。
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