寝正月
1月3日(木)
基本的に、寝正月である。
正月の間、ずーっと寝ている。
いつも寝ている部屋は、9カ月の娘が部屋に入ってこないように、ドアを閉めている。
今日も昼間に高鼾をかいていたら、
「ギャぁぁぁぁぁぁーーーー」
「たすけてぇぇぇぇぇーーー」
という妻の叫び声とともに、
「ギャぁぁぁぁぁぁぁーーー」
という娘の泣き声が聞こえた。
正確に言えば、この叫び声は、当初は全然聞こえていなかった。何度も叫ぶうちに、ようやく寝ている僕の耳に入ってきたのである。
(これは、どうやらただごとではないな)
叫び声の様子から、なにやらたいへんなことが起こっていることを予感して、起き上がり、おそるおそるドアを開けた。
すると、そこに驚くべき光景が広がっていた。
一面血の海!!!
ではなく、
クリームの海!!!
なのである。
「どうして何度も叫んでるのに起きないの??!!!」
隣近所の人が聞いたら何か事件に巻き込まれたんじゃないかってくらい叫んでいたというのに、僕は高鼾をかいてまったく起きなかったのである。
状況を聞くと、ちょっと目を離した隙に、娘がおとなしくしているなあと思っていると、なんと娘は、テーブルに置いてあった、妻が使っている乾燥肌用のクリームの蓋を開けて、そのクリームをなめて、しかもひっくり返したというのである。
そのクリームは、ちょっと水っぽい感じのジェル状になっていて、それをじゅうたんの上にぶちまけたものだから、じゅうたんにベットリと、血糊ならぬ、クリーム糊が付いてしまったのである。
泣き叫ぶ娘。そして口の周りと服にはベットリとクリームがついている。
寝起きでぼーっとしていて、どのような手順でこの状況を処理していいかわからない。
ぼーっと立ちすくんでいると、
「シャワー!」
という。
あわてて娘の服を脱がせ、シャワーを浴びせることにした。
顔を近づけると、娘の吐く息が乾燥肌用クリームのにおいである。
「酒臭い」ならぬ、「乾燥肌用クリーム臭い」のである。
相当な量のクリームを食べてしまっていることが予想できた。お酒ならば、二日酔いのレベルである。
口の中に指を入れて、ゴシゴシと洗おうとするが、もはや口の中にクリームは残っていなかった。
とにかく体全体をゴシゴシと洗った。
お風呂場を出ると、妻が泣きながらじゅうたんの水拭きしていた。
「まったく、…このクリーム、1000円もしたのに…、こんなに一気になくなるなんて…」
ええええぇぇぇっっっ!!!そっちの心配???
「だって、もったいないから少しずつ塗っていたのよ!!」
それを、娘が一気にぶちまけてしまったのだ。
「それに、せっかくのじゅうたん…カビが生えるかも…」
ええええぇぇぇっっっっっ!!!やっぱりそっちの心配???
まあ、今回ばかりは、というか、今回も、いちばん悪いのは、惰眠をむさぼっていたこの僕なのである。
娘は、そんなことを忘れたかのように、すっかり泣き止んで元気に遊んでいた。
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