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無趣味談義

これといった趣味がない。

ほんと、趣味というものが、全くないのである。

仕事で移動ばかりしていることもあり、休みの日に出歩くことも、あまり好きではない。連休となると、何もやる気が起きなくなり、ひたすら寝てばかりいる。

先日、暇に飽かせて、自分がこれまでに「宿泊したことのある県」というのを、数えてみた。

すると、「埼玉県」以外、すべての県に宿泊したことがあることがわかった。

ひょっとしたら埼玉県にも宿泊した経験があるのかも知れないが、いまのところ、記憶にない。

ま、どうでもいいことなのだが。

趣味らしい趣味といえば、「金田一耕助を演じる俳優は誰がいいかを妄想する」ことくらいである。

石坂浩二、古谷一行以後の金田一耕助には、どうもパッとする人がいない。

年末年始に、男性アイドル専門の大手芸能事務所のアイドルを金田一耕助に起用した「犬神家の一族」を放送していたそうだが、見る気も起きなかった。

これでは、金田一耕助なのか金田一少年なのか、区別がつかないではないか。

同じ男性アイドル専門の大手芸能事務所のアイドルでも、最近その事務所を辞めたかつての人気アイドルグループの1人が演じていた金田一耕助の方が、まだ見ようという気が起きたものである。

…どうも、まどろっこしくていけない。

金田一耕助を演じられる俳優は日本にはいないのではないだろうか、と絶望的になり、韓国の映画俳優、パク・ヘイルこそが、金田一耕助にふさわしいと以前に書いたことがある

Photo_2パク・ヘイルの出演した映画に、「極楽島殺人事件」(2007年)とか「黒く濁る村」(2010年)というものがあって、いずれも横溝正史チックなまがまがしい雰囲気の映画なのだが、その中で彼は、まるで金田一耕助のような狂言回しの役を好演していた。

韓国で金田一ものをリメイクするとしたら、彼しかいない。

…と思っていたら、日本にも救世主があらわれた。長谷川博己である。

やはりこの年末年始、NHKのBSで「獄門島」の再放送をやっていて、数年前に見逃したこのドラマをようやく見ることができたのだが、この長谷川博己演じる金田一耕助が、実によかった。作品自体も、完成度が高かった。

これまでの金田一耕助像とも違う、それでいて、おそらく原作の金田一耕助のイメージをくずすことなく、演じている。

これまでの金田一耕助は、どちらかといえば飄々とした雰囲気が強調されているが、長谷川博己演じる金田一は、どこか、情緒不安定である。いや、どこか、というより、かなり情緒不安定なのである。

金田一耕助は、戦争中、兵士として召集され、ニューギニアのウェワクというところで、全滅に近い状態で敗走し、熱病と栄養失調という極限の状態を経験している。

ニューギニアで終戦を迎えた彼は、復員船の中で、友人である鬼頭千万太(ちまた)の死に直面し、復員後、彼の遺言によって、彼の故郷である獄門島に赴く。つまり「獄門島」は、金田一耕助が復員して、ほどなくして起こった事件である。

長谷川博己演じる金田一耕助が、かなり情緒不安定にみえるのは、あるいは、南方戦線での極度の栄養失調や熱病の苦しみ、復員船の中での友人の死といった体験が、PTSD(心的外傷後ストレス障害)による心の不安定さとなってあらわれているのではないか、とも想像されるのである。戦争体験、従軍体験が金田一耕助に暗い影を落としていることが、長谷川博己の演技により、説得力をもって示されているのである。むしろこれまでの金田一像は、こうした心の闇の部分を看過してきたようにも思われるのである。

石坂浩二、古谷一行以降、ようやくたどり着いた。長谷川博己に。

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コメント

長谷川金田一は非常によかった。やや斬新な音楽や演出も好感が持てたし、何より獄門島の謎解きの一番の鍵なのに映像化の度に言い換えられてしまうあの言葉をそのまま使った公共放送様に賛辞を送りたい。
横溝正史は金田一耕助の推理や人物像に戦争経験が反映されてるとしているわけですが、確かに従前の映像作品の金田一耕助は飄々としたおっさんのイメージだけが強い。
獄門島は復員直後の設定だし、あれぐらい情緒不安定なのも不思議ではない。
長谷川博己。シンゴジラといいいい仕事する。

投稿: 江戸川 | 2019年1月15日 (火) 07時56分

誰にもわかってもらえないだろうと思って書いたら、江戸川君だけがわかってくれた。やっぱり書いてみるもんだ。

投稿: onigawaragonzou | 2019年1月15日 (火) 19時48分

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