師弟トライアングル
1月28日(月)
午前中、職場の仕事を終えて、午後、都内に向かう。数か月に一度の会議である。
この会議は、毎回気が重い。僕がいままで生きてきた中でいちばん恐いと思っている先生が、大ボスだからである。僕らに要求する水準も、きわめて高いのだ。僕はそれに応えられないことが多く、いつも会議が終わったあとは落ち込むのである。
この会議のメンバーは、大ボスの他に、僕と同じ世代の人が2人いて、つまり僕を含めると合計4人である(このほかに、事務スタッフ2名が加わる)。
僕以外の2人は、大ボスの正真正銘のお弟子さん。それに対して僕は、いわば外野である。
たとえて言えば、そうねえ。大ボスが談志だとしたら、二人は談春と志らく。で、僕は春風亭昇太、みたいな感じである。
大ボス(談志)とその二人との師弟関係は、僕なんぞが全然入り込めないほど濃密である。僕は同じ一門ではないのでお客さん扱いで、談志も志らくも談春も、何となく僕に気を遣っている(ように思える)。
2時間半の会議が終わり、会議のあとは、いつもの場所で懇親会である。
ここからが長い。いつもたいてい3時間ほど続く。
会議に引き続き、談志師匠の独壇場である。
その博覧強記ぶりには圧倒されるばかりで、僕なんかが口を挟むことなんぞできやしない。ただひたすら、談志師匠の、ときおり毒舌の混じったマニアックな話題を聞き入るばかりである。
他の2人も、基本的には師匠の話を聞くばかりで、よけいな口は挟まない。ときおり絶妙のタイミングで相づちや突っ込みを入れる。師弟の間で長年かかって培ってきたリズムなのだろう。ぼくには絶対にまねできないことである。
このやりとりを見ればわかる。3人の師弟関係は、容易なことでは崩れない強固な関係なのだと。
こうやって書いてみると、3人の関係を、談志と談春と志らくの関係にあてはめるのは、我ながらまことにぴったりである。
師匠の談志は、業界の異端児。驚異の博覧強記と実力に裏打ちされた毒舌家。敵も多い。
談春は、師匠の教えを守り、堅実にそれを受け継いでいる。
志らくは、談志にとってマスコット的存在。
このトライアングルは、最強だな。僕なんぞ、1ミリも入る隙がない。だから黙っているよりほかないのだ。
談志師匠は、この2人を前にして四方山話をするのが楽しくて仕方がない、というのがよくわかる。2人も、師匠を心から尊敬している。
僕の役割は、できるだけ3人の邪魔にならないこと、足を引っ張らないことである。それができれば十分である。
…と、俺こと昇太は思うのであります。
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