スマフォカバー放浪記
昨年末の話にさかのぼるが。
12月の最後の三連休(22日~24日)に酷い風邪をひいてしまったのだが、それでも、25日に職場で会議があるので、穴を開けるわけには行かないと思い、無理をして出勤した。
さすがにつらくなったので、早めに帰ろうと思ったのだが、一方で、どうしても気になっていることがあった。できれば、年越しの前に解決したい問題である。
それは何かというと、スマートフォンのカバーを、新しいものに買い換えたいという願望である。いま使っているスマフォは、たぶん2年以上前に買ったものと記憶しているが、そのときに一緒に取り付けた「手帳型カバー」が、ボロボロになってしまったのである。
風邪でテンションも低いし、スマフォのカバーを新しくすれば、少しはテンションが上がるかなあと思い、帰り道、途中下車して、スマフォのカバーを買うことにしたのである。
向かった先は、このスマフォを買ったお店である。いまの家に引っ越す前に買ったので、お店は今の家の近所ではなく、引っ越し前の家の近所にあったので、わざわざ途中下車したのである。そのお店で、スマフォと一緒に手帳型カバーも買ったのであった。
「いらっしゃいませ」
「あのう…このスマフォのカバーを買い換えたいんですけど」
「少々お待ちください」
一つ懸念していることがあった。それは、いま僕の使っているスマフォというのが、とてもマイナーな機種で、2年ほど前に買ったとはいえ、たぶんもう製造していないと思われることである。スマフォの本体がもう発売されていないとすれば、そのカバーも、販売されていない可能性が高い。
少し経って店員さんが戻ってきた。
「お客様、あのう…。うちにはこの機種に合ったカバーの在庫がございません」
予想は的中した。店内には、いろいろなスマフォのカバーが並べられて売られているのだが、そのほとんどが、iPhoneとか、Xperiaとか、人気の機種ばかりであり、僕の使っているマイナーな機種のカバーは、すっかり駆逐されてしまっているのだ。
「ここに並んでいるものがすべてでして、ここになければ在庫はありませんので」
「このスマフォ、ここで買ったんですがね」
「そう言われましても…」
せめて、「お取り寄せになります」とか何とか、ひと言でも言ってほしかった。いや、実際に取り寄せてもらう気はないのだけれど、店員さんは、そんなそぶりはまったく見せず、「ないものはない」の一点張りだったので、少し腹が立ったのである。
もちろん、ないものはないのだから仕方がないのだが、体調の悪さも手伝って、
(2年前にこのお店で売っていたものなんだから、もう少し責任を持ってくれよ…)
という気持ちになってしまった。
「そうですか…。じゃ、じゃあ、どこに行ったら買えますかね?」
私は食い下がった。
「そうですね。この近くに、家電量販店がありますので、そちらに行くとあるかも知れません」
「そうですか。わかりました」
僕はお店を出て、家電量販店に向かった。
家電量販店には、先ほどのお店とは比べものにならないほどたくさんの種類のスマフォカバーが並んでいた。
しかしそのほとんどは、やはりiPhoneとXperiaの機種対応のもので占められていた。
僕は諦め半分で店員さんに聞いてみた。
「あのう、このスマフォに対応するカバーはありますか?」
「少々お待ちください」
店員さんは、陳列されているスマフォカバーのところをさがしたり、誰かに聞きに行ったりしていたりしていたが、結局出した結論は、
「うちの店にはありません」
とのことだった。
「そうですか…。じゃ、じゃあ、どこに行ったら買えますかね?」
「この市内ですと、うちよりも大きな家電量販店が、インターの近くにあります」
「歩いて行けますか?」
「さあ、この辺の地理はよくわかりません」
インターはだいぶ離れたところにあるのを僕は知っていたのだが、この店員さんはそれすらも知らないようだ。あるいは、「何を聞かれても知らないと答えろ」と社員教育を受けているのだろうか??
僕がなぜ、携帯電話ショップや家電量販店が苦手なのか、なんとなく理由がわかってきた。何というか、最後の最後に店員さんにハシゴをはずされる感じ、である。在庫がないものに関しては、一転して「知らぬ存ぜぬ」という態度を貫き通す。それはもちろん仕方のないことなのだが、どうしてもモヤモヤするのである。
「他店に在庫があるか確認してみますね」
とか、
「お取り寄せもできますよ」
というサービスすら、放棄してしまったかのごとくである。
もちろん、そんなのは客の言いがかりだ、ということは、重々承知していますよ。
しかし、どうしても今年中に、スマフォカバーを買い換えたいのだ!
いったん落ち着こう。
そうだ、ネットの通販で買えばいいじゃん、ということに気づいた。
帰りの電車の中で、ネットの通販サイトにアクセスして、目的のスマフォカバーをさがした。
するとやはり、純正品のようなものは生産中止になっているみたいで、ノーブランドのカバーが、細々と売られていることがわかった。さっそく購入ボタンを押した。
やはり、スマフォの機種が変わると、当然ながら、スマフォのカバーも生産されなくなるのだ。そうなると、当然のことながら、店舗ではほとんど売られなくなる。
なるほど、ネット通販にたよらざるを得なくなるわけだ。ネット通販ならば、自分の欲しいものが確実に手に入るし、店員さんの態度にモヤモヤするストレスもない。
しかし、これは究極の自己責任社会だぞ。これでいいのか???
もっとも、今まで客に手厚かったこの国の文化のほうがめずらしくて、世界的にみれば客が自己責任で商品を買うのは当然なのかも知れない。そういうことに慣れていかなければいけないんだね。そんなことを感じた年の初めでした。
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