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唯脳論者であり、映写室派

「アンパンマン にぎって!おとして!くるコロタワー」というおもちゃがあるのをご存じですか?

Photo娘が生まれてから3カ月くらいたったころ、「前の職場」の卒業生が、娘へのプレゼントにくれたおもちゃである。彼はおもちゃ会社に勤めている。

「まだちょっと早いですけどね」

見ると、「対象年齢18カ月以上」とあった。

どんなおもちゃかというと、アンパンマンの頭の上に穴が空いていて、その穴に丸い玉を入れる。アンパンマンの体内にらせん状のすべり台があって、その玉がクルクルコロコロと、そのらせん状のすべり台を伝って下まですべり降りてくる、というものである。

しかも、丸い玉が滑り降りてくる間、アンパンマンの音楽が流れるというしくみにもなっている。

なるほど、これは難易度が高い。

まず、頭の上の穴に入れるのは、純正品の丸い玉でなければならない。穴の規格がそうなっているのである。つまり、何でもかんでも穴に入れていいわけではなく、穴に入れる純正品の玉を、見極めなければならない。

次に、頭の上にある穴の位置を正確にとらえ、そこに純正品の玉を入れるという動作が必要である。

つまり、1.丸い玉を見極める、2.丸い玉を入れる穴の位置を見極める、という二つの思考が可能になって、この遊びは成立するのである。

こういうの、知育玩具っていうの?まあそれはともかく。

最初は、当然のことながらこのおもちゃで遊ぶことなどまったくできなかったのだが、生後8カ月、9カ月くらいから、自分で丸い玉をとり、それをアンパンマンの頭の上にある穴に入れることができるようになった。

頭の上にある穴に入れると、アンパンマンの音楽が鳴るしくみになっているので、娘はその音楽が流れると喜び、何度も丸い玉を頭の上の穴に入れて遊ぶようになっていった。

Photo_2ところで、なぜ丸い玉を頭の上の穴に入れると、音楽が鳴るのか?そのしくみを見てみると、穴の下の方に小さな赤いボタンがついている。丸い玉を穴に入れると、その玉が自動的にそのボタンを押すことになる。ボタンが押されることに反応して、音楽が鳴るしくみになっているのである。

ここまでの説明、わかったかな?

もちろん、赤ちゃんなんぞは、そんなしくみなどわからず、ただ玉を穴に入れれば、音楽が鳴るものだと思って喜んでいるのである。

ところが、である。

娘が9カ月、10カ月頃になって、ある異変が起こった。

娘は、あろうことか、この「アンパンマン にぎって!おとして!くるコロタワー」というおもちゃを、分解しはじめたのである。

このおもちゃは、頭の部分や、中のすべり台の部分が、取り外せるしくみになっているのだ。そのことに気づいた娘は、このおもちゃをバラバラにしてしまったのである。

全体の形をアンパンマンの体になぞらえれば、アンパンマンの頭と胴体を分離し、さらに内臓も取り出した、ということになる。

そしてついに、娘は発見した!アンパンマンの頭の中にある、小さな赤いボタンを、である!

やがてその小さな赤いボタンを押すと、例のアンパンマンの音楽が鳴り出すことに、娘は気づいたのであった!

さあ、そこから先は、アンパンマンの頭の中の小さな赤いボタンをひたすら押しまくるだけである。なにしろボタンを押しさえすれば、音楽が流れることに気づいてしまったのだ!

もはや、丸い玉を頭の上の穴から入れることで、音楽が鳴り出すなどといった「子どものための仕掛け」は通用しない。

かくして、アンパンマンの頭の中にある小さな赤いボタンこそが、自分を楽しませる源泉であることに気づいた娘は、アンパンマンをバラバラにし、その頭の中にのみ、興味の矛先を向けるのであった。

つまりこれはどういうことか?

人間とは脳こそが実存であり、人間の心や体は結局は脳に操られているにすぎないのだという「唯脳論」に、生まれて10カ月目にして到達したことを意味するのではないだろうか???

ということは、将来は脳科学者になるのがふさわしいのかも知れない。

…とここまで考えたとき、映画「ニュー・シネマ・パラダイス」のパンフレットの中で、大林宣彦監督が次のような映画評を書かれていたことを思い出した。

「…もちろんこの少年(トト)も人並みに観客席に坐り、ムービー・キャメラを手にしたりもする。しかし観客席ではすぐに後ろをふり向いて映写窓の光源に映画の生命を見ようとする。映写装置こそが実存であり、スクリーンの上の映像は所詮、影なのだ。映写装置が壊れたり、フィルムが途切れたりしたら、すぐに消滅してしまう。(略)人生はいつでも、映画のフレームの外に別にあるのだという、いわばリアリストとしてその痛みを知っている。…」(「映画館が失われた時代に映画を作り続ける勇気」)

うちの娘は、間違いなく映写室派である。

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コメント

脳科学者をめざすためには、下の動画の後半に登場する「火星の美容室」が必要かと。

パトリシア・クール 「赤ちゃんは語学の天才」
https://www.ted.com/talks/patricia_kuhl_the_linguistic_genius_of_babies/transcript?language=ja

というか、これから寝る前にLovelyzとIZ*ONE(アイズワン)の韓国語バージョンを歌ってあげれば、長久命のスヨンちゃんも、末は言語学者、もしくは立派なラブリナスかWIZ*ONE(ウィズワン)になれるかも。

投稿: ピアジェこぶぎ | 2019年2月12日 (火) 15時17分

娘さんに喜んでもらえて(?)良かったです!!!笑

投稿: N | 2019年2月15日 (金) 23時47分

N君、ありがとう。最近は分解することもなくなり、素直に丸い玉を頭の上の穴に入れて楽しんでいます。原理を理解した上で、素直に楽しむようになったのでしょう。

投稿: onigawaragonzou | 2019年2月16日 (土) 00時57分

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