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社長随行記

2月8日(金)

相変わらず背中が刺すように痛くて、動くたびに激痛が走るので、出張先の韓国で症状が悪化したらどうしようと不安だったのだが、力を振り絞って出張に行くことにした。

なにしろ今回の出張は重要な外交行事で、社長の随行員として通訳と交渉をつとめなければならない。もし僕が行かなかったら、社長ひとりが路頭に迷うことになるのである。

先方の機関には、12時半に訪問することになっていた。

社長は前日の7日からソウル入りしていたが、僕は7日に都内で所用があったので、8日当日の朝に出発しなければならなかった。12時半に先方の機関に着くためには、そうとう早い時間に出発する必要がある。

朝4時に起きて、5時の電車に乗り、空港に6時半に着く。で、搭乗手続きをして、8時25分の飛行機に乗り、11時前に空港に到着し、そこから地下鉄を乗り継いで、ギリギリ、12時半に間に合った。

先方の機関の社長との挨拶もそこそこに、さっそく先方が用意してくれた午餐会場に向かう。

午餐は、重要な外交の場である。話題が途切れないように気を遣わなければならない。それでいて、出された料理を滞ることなく食べなければならない。話に夢中になりすぎて食べずにいると、口に合わないのかな、と思われてしまうからだ。

なのでこの午餐の時間が、僕がいちばん汗をかく時間である。

ソウルの気温がマイナス9度であるにもかかわらず、僕の額には玉の汗が浮かんでいるのである。

なんとか午餐を終え、こんどは社長室で交渉事である。

僕が考えた稚拙な提案を、先方の社長は実に的確に理解され、それをよりよい方向に持っていこうと部下に指示される。

午餐の時から感じていたのだが、先方の社長は、実に話もうまく、物事を的確に捉え、懐が深いのである。ひと言で言えば、人格者である。

この機関の社長は、もともとエリート官僚の「腰掛け」のポストであることは以前から知っていた。

僕はいつも思うのだが、本当に優秀な官僚とは、頭脳明晰で、知識が豊富で、懐が深くて、人格者で、話が上手な人なのだ。

部下の職員たちも、生き生きと仕事をしているようにみえる。

あとで、この機関に勤める友人に、こっそりと聞いてみた。

「いま、この機関はいちばんいい体制なんじゃないですか?見ていて、とても雰囲気がいいと思いました」

「ええ、そうなんです。いまの社長は実に優秀で、人格者で、いいと思ったことをすぐに実行に移す方なので、下にいる我々も、仕事をしていてやりがいがあるのです」

「なるほど」

「ここだけの話ですが、あのお方は、国のために本当に必要な人材です。このような小さな機関の社長におさまるような方ではない。私たちにとっては、あの方が社長でいられることはうれしいことですけど、国にとっては、大きな損失です」

ふだんは冷静な友人が、ここまで人を褒めるのはめずらしい。

僕は僕で、そういう優秀な官僚の方と直接お話しができるというのは、めったにないことである。

その意味で、背中が痛いのを我慢してまで来た甲斐があったというものである。

午後4時すぎ。外交儀礼は無事に終わり、社長も僕も安心したのであった。

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