悪意があるのは誰だ?
忙しいので、どーでもいい話を一つ。
かなり前のことだが、Aさんという人が、僕にこんなことを言った。。
「鬼瓦さんがEさんの悪口を言ってるってことを、Tさんが言いふらしてましたよ」
えええぇぇぇぇっ!!!???
僕は驚いた。
僕には、Eさんの悪口を言った記憶など、まったくないのだ。
そもそも、僕はEさんとそれほど接点があったわけではない。
だから、悪口を言う理由もないのだ。
誰かと話している中で、Eさんについて話題に出したこともない。
これが、もっとほかの、僕が本当に嫌っている人の名前が出ていたら、さもありなん、と僕も反省するところだが、なにしろEさんに対しては、僕が悪口を言う必然性が一切ないのである。
(なぜ、そんなことになっているのだろう?)
僕は不思議で仕方なかった。
もう一つ疑問なのは、それが「Tさん」が言いふらしている、というのである。
Tさんは、僕がちょっと苦手に思っている人で、そんな人に、僕が心を開いて第三者の悪口を言うことなんぞ、ありえないのである。
つまり僕がこの話を聞いて信じられないのは、
・僕がEさんの悪口を言うはずがない。
ということと、
・万が一悪口を言っていたとしても、それをTさんに話すはずはない。
ということで、つまり二重の意味でこれはあり得ない話なのである。
さらに不思議なのは、これをAさんが僕に言ってきたという事実である。
Aさんは、EさんともTさんとも親しい。可能性としては、EさんがAさんに、「鬼瓦さんが僕の悪口を言ってるようだね。Tさんから聞いた」と言ったか、AさんがTさんから直接、「鬼瓦さんがEさんの悪口を言ってる」と聞いたかの、どちらかである。
Eさんは、誠実でいい人なので、EさんがAさんにわざわざそんなことを言うはずはないだろう。
とすれば、Aさんに言ったのは、Tさんなのか???
僕は、第三の可能性を考えた。
それは、「鬼瓦さんがEさんの悪口を言っている、とTさんが言いふらしている」ということ自体が、Aさんの作り話である、という可能性である。
こうなると、話は変わってくる。
Eさんと親しいAさんは、Eさんに対しても、「鬼瓦さんがEさんの悪口を言っていると、Tさんが言ってました」と言っている可能性がある。
何のために?
何のためかはわからないが、何らかの意図を以て、そんな作り話をした可能性も、十分考えられるのである。
ここで思い出すのは、「間接的に聞いた、という話法のほうが、心にずしんとくる」という法則である。
たとえば何かについて褒めるにしても、直接褒めるのではなく、「誰々さんが君のこと褒めていたよ」と言ったほうが、より効果的である、といった法則である。
あるいは逆に、直接くさすのではなく、「誰々さんが君の悪口を言っていたよ」と言った方が、ショックが大きかったりする。
それと同じで、間にTさんを挟むことで、「悪口を言っている」という作り話に真実みを持たせようとしたのではないだろうか。
はたして、悪意があるのは、Tさんだったのか?それとも、Aさんだったのか?
今となっては、AさんともTさんとも疎遠になったので、こんな話はどーでもよいことなのだが、こんなどーでもいい話を思い出したのは、最近、Eさんにお会いする機会があったからである。
この根も葉もない話をAさんから聞いたのが、いまから20年近く前である。20年近く経ったいまも、あのときの「根も葉もない噂話」のことが思い出されて、「Eさんには、僕がEさんの悪口を言っているという根も葉もないうわさが耳に入っているのではないだろうか」と、いまでも疑心暗鬼に震えるのである。
もちろん、Eさんとお会いするときは、普通にご挨拶して、普通にお話しをしているので、あんな根も葉もない噂に怯える必要など何もないと信じたい。
まったく、人の世というのは、恐ろしいものである。
| 固定リンク
「思い出」カテゴリの記事
- 続・忘れ得ぬ人(2022.09.03)
- 忘れ得ぬ人(2022.09.02)
- ある授業の思い出(2022.07.21)
- ふたたび、卒業文集、のはなし(2022.05.21)
- 時刻表2万キロ(2022.03.16)
コメント
ハイダーのバランス理論で考えて見よう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/バランス理論
まず、紙にA、E、Tと書いて、線でつないで三角形を作る。で、この三本の線に両端の関係が良ければ+、悪ければ-、中立なら0(ゼロ)を書く。これらの3つの符号の積が正なら均衡状態、負なら不均衡状態で、不均衡な状態であれば均衡するように好悪関係を変えて、心(正確にいうと「帰属」だが)のバランスを取る、というものだ。
ここでAはE、Tとも仲がよいということが重要だ。A-E、A-T間が+だとすると、均衡状態にするには、E-T間も+であるべきだ。つまり、Aさんの立場では、3人とも+の関係であると都合がいい。
さて、Aさんの視点に立って、O(鬼瓦)、E、Tの三角形を書いてみよう。ここでも、E-T間を+にすれば、この三者関係が均衡するには、O-E、O-T間がともに+同士か-同士であればいい。
ここで、O-T間つまり鬼瓦さんとTさんの仲が良くないことをAさんが知っていたとすれば、O-E間も-であるべきで、すなわち鬼瓦さんとEさんの仲が悪く、悪口を言うべき、ということになる。一方、Tさんか言いふらしているということにしたのは、0-T間が負の関係であることを反映させたからである。
かくして、Aさんの視点では、鬼瓦さんはEさんともTさんとも仲が悪いと(Aさんの)心のバランスがとれていいのである。
よいこの読者のみなさんは分かったかな? 図を描いてみるとわかりやすいよ。
あと、人間の三角関係の場合は、バランス理論以外で均衡状態になることもあるよ。ヨン様の「冬のソナタ」の例で考えてみてね。
投稿: こぶぎバランス | 2019年2月26日 (火) 09時28分
誤) 心(正確にいうと「帰属」だが)
正) 心(正確にいうと「態度」だが)
投稿: 業務連絡こぶぎ | 2019年2月26日 (火) 09時30分