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満身創痍

3月15日(金)

いよいよ、来週に迫った新店舗開店だが。

実にいろいろなことがあった。

「いろいろなこと」というのは、さまざまなトラブルのことである。

いつかどこかで裏話を書きたいとも思っているのだが、さすがに、ここには書けない。

といって、「墓場まで持っていく」ような話でもない。

ま、わからないように、少しずつ小出しに書いていくことにしようか。

映画「大脱走」で、ちょっとずつ監獄の壁に穴を開けて、そのときに出た砂を、外出の折に地面に撒くような感じで。

…ちょっとたとえがわかりにくい。

このたびの新店舗開店で、獅子奮迅の活躍をしたのが、Oさんである。孤軍奮闘といってもいい。

ほとんどの仕事は、最終的にはOさんのもとに集中した。Oさんは持ち前のバイタリティーで、なんとかふんばっている。

数日前だったか、廊下でOさんとすれ違ったとき、

「僕も、やっちゃいました」

と、僕に言った。

「何がです?」

「肋骨です」

「肋骨、折ったんですか?」

「どうもそのようです」

見ると、Yシャツの上から、腹巻きみたいなサポーターをしているではないか!

(胸の周りをサポーターで巻いても、あんまり意味ないんじゃないかな…)

と思いながら、まあ「気は心」と言うからと、僕はサポーターについては触れなかった。

「やっぱり、働き過ぎの疲労骨折でしょうか」

「わかりません。そもそもそういうのって、疲労骨折って言うんでしょうか?」

あるいは、骨折は伝染するのか?とも思ったが、言うのを思いとどまった。

いずれにしても、毎日あれだけ無茶な仕事の仕方をしているんだから、肋骨のひとつも折れるだろう。

毎日毎日、いろいろなトラブルが起こる。そのたびに、Oさんが矢面に立ってトラブルの解決にあたる。

しかし、Oさんではいかんともしがたいトラブル、というのもある。

昨日の夕方も、ちょっとした問題が起こった。

もう退勤しようかと思っていた矢先、Oさんが僕の仕事部屋にやって来た。

かくかくしかじか、という相談である。

ま、ふつうだったらやり過ごしてしまうような内容なのだが、気がついちゃったんだから仕方がない。

僕もOさんの話を聞いて、なるほどその通りだと思った。

「わかりました。なんとか対応を考えましょう」

…といっても、打つ手などなく、話のわかる同僚にメールで相談してみたところ、夜遅くに返信が来た。

「私は部外者なので、私がしゃしゃり出ても問題の根本的な解決にはならない。チームの中で問題を共有することが大事ではないか」

と至極まっとうな正論である。

こりゃあ、明日もう一度、Oさんに話を聞いて対応を考えるしかないな、と思い、Oさんにそのようにメールを書いた。午前0時頃のことである。

翌朝、メールを確認すると、Oさんから返事が来ていた。

「本日、朝起きたところちょっと皮膚の炎症を起こしているようなので、 出勤までに引かなければ、皮膚科に行こうと思いますので、職場到着が昼頃になるかと思います。改めてご相談させていただければと思います」

なんと!肋骨の骨折に加えて、皮膚の炎症だと!明らかにこれは、疲労によるストレスではないだろうか?

それ以上にビックリしたのは、メールの返信を送ってきた時間である。

午前4時18分とあるではないか!

朝4時に起きて、メールを書いたってことか?

毎日遅くまで仕事をしているはずなのに、朝4時に起きるとは、と、他人事ながら心配になってきた。

さて今日、僕が朝6時に家を出て、片道2時間半かけて職場に到着したのが、8時半過ぎである。

自分の仕事部屋に行くときに、Oさんのいる部署の部屋を通るのだが、なんとOさんはすでに出勤しているではないか!

ということは、皮膚の炎症はおさまったということか??

いずれにしても、Oさんは満身創痍の中、新店舗開店にむけてラストスパートをかけているのである。

そんな中で起こった、ちょっとした問題だったのだが、解決までは至らなかったものの、なんとなく、今後の展望がみえてきた。

事態は5ミリくらい進展した、といっていいだろう。

しかし裏でこんなことで頭を悩ませているとは、たぶんほかの人にはわからない。

満身創痍になりながらも、表面には見えないさまざまな問題に頭を悩ませながら、来週、何事もなかったかのようにオープンするのである。

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コメント

さて、そろそろ帰ろうかな。

(がちゃ)

ん? こんな時間に何ですか?

実は大変なことが。

え? 目玉商品が割れたとか? あれ、密かに僕の名前とカブらせてるんだけど。

あ、それはカワラないんですが、もう一つの目玉商品から噴水が出てまして。

それじゃ、周りの商品が水浸しでしょう。どうするんですか。

どうにも、本物志向を追求したかったらしく。

シュミの世界にもほどがある。でも、周りに配管なんてなかったでしょう。どうやって水を通すんですか。

そこは日本の伝統奇術の水芸の技術を使いまして、横に立つ解説員の服の下にホースを走らせまして、そこから噴水につなぎまして。

こらこら、他人様(ひとさま)の営業妨害するんじゃありません。水芸はタネも仕掛けもありませんから。

で、その人間ホース役、否、解説員のシフト表にあなたの名前も入っているんです。どうします? 肋骨あたりにホースを巻くと冷えて痛いでしょ。その点、私はサポーターがありますからいいんですけど。

ま、これでお役目をもらえれば透明人間じゃなくなるからいいですけど。で、いつからホース巻くんですか。

それは当然、あすからです。

投稿: OさんとOさんの会話(こぶぎ) | 2019年3月16日 (土) 12時41分

こぶぎさん、さりげない新店舗紹介、ありがとうございます。

投稿: onigawaragonzou | 2019年3月17日 (日) 02時31分

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