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生憎の雨ではなく、恵みの雨

4月14日(日)

今年度最初の出張は、新幹線に乗って西に向かう。

「のぞみのとまる駅」で降りて、在来線と地下鉄を乗り継いで、市街地から少し離れた目的地に着いたのが午前11時半。生憎の雨模様である。

今日はここ「桜の名所」で、午後1時から桜にかかわるお祭りがあるのだ。出張の用務は、そのお祭りに使われるあるものを調査することである。

はじめて参加するお祭りなので、どのような規模のお祭りなのかもよくわからない。桜の名所でのお祭りだから、さぞ見物客が多いだろうと予想して1時間半前からスタンバイしていたのだが、小雨だったせいなのか、あるいは市街地から離れている立地のせいなのかはわからないが、予想していたほどのお客さんは集まっていない。ちょっと拍子抜けしてしまった。

ぱらぱらと集まってくる見物客は、観光客というよりも、地元の人のようである。観光客もいるのだが、そのほとんどは、外国人のようである。

このお祭りのメインは、ちょっとした仮装行列である。いろいろと聞き耳を立てているうちに、なぜ、このお祭りには地元の人たちが多く集まっているかが、わかってきた。

第一に、仮装行列をするメインの人たちが、地元の企業の社員のみなさんだからである。このお祭りは毎年、地元の企業にスポンサーになってもらって、おそらくその見返りに、仮装行列の主役を演じる栄誉を与えられるらしい。むろん、仮装行列でいちばん偉い人を演じるのは、その企業の社長さんである。したがって、その会社の関係者や招待客が、このお祭りを見に来るのである。

第二に、仮装行列には、地元の小学生たちも数多く参加する。華やかな衣装に身を包んだわが子を写真や動画におさめようと、その家族たちがこのお祭りの見物客として参加しているのである。

なるほど、このお祭りは、実は地元密着型のお祭りだったわけだ。

行列は、出発地のA門からB門を通り、数百メートルほど練り歩いて、目的地であるC堂広場に到着する。その間、時間にして15分くらいだろうか。見物客は、その行列の様子を見ることができるのだが、その区域は限られている。A門からB門までの道の両側に見学スペースがある。B門からC堂広場の入口までの道は立ち入り禁止区域で、仮装行列のみが通ることができる。したがって、見学ポイントは、出発地であるA門からB門までの間の道か、到着地のC堂広場の2カ所しかないのである。私たちは迷ったあげく、到着地のC堂広場で行列を待つことにした。

午後1時。出発地で法螺貝が鳴り、行列が出発する。といっても、到着地で待機している僕には、その様子はわからない。1カ所、見晴らしのいい場所があり、そこに立つと、行列がゆっくりと進んでくる姿を見ることができることがわかった。僕はすかさず、その場所に陣取った。

しばらくして行列がこちらに向かってくるのが見えてきた。思った通り、華麗な衣装を身にまとった小学生たちと、その後ろに、これまた華麗な衣装を身にまとった企業の社長以下社員たちが、ゆっくりと練り歩いてくる。

僕のまわりは、小学生の子どもの家族とおぼしき人たちばかりで、わが子の姿をカメラに収めようと必死である。なるほどこれは、学校の運動会で、わが子の写真を撮るようなものなのだな。

行列はあっという間に通り過ぎ、C堂広場に到着した。晴れていれば、広場に仮設された舞台の上で、さまざまな演目が披露されるはずである。しかし雨脚は次第に強くなり、とても演目を披露できる状況ではない。

そこで急遽、C堂の中でさまざまな演目が披露されたのであった。ふだんはC堂の中に入ることができないのだが、今日は生憎の雨という不可抗力のおかげで、C堂の中に入って、さまざまな演目を見ることができたのである。恵みの雨というべきか。

なかでも圧巻だったのは、演目の最後に行われた時代劇ショーである。映画会社の大部屋俳優の人たちが、C堂の狭い廊下を所狭しと殺陣の披露をしていた。本来ならば青空の下の舞台で大立ち回りをするはずだったのだが、雨で予定が変わり、細長いスペースで、貴重な建物に気を遣いながら殺陣をしなければならない。急な段取りの変更にもかかわらず、そこはさすがにプロである。お客さんを楽しませていた。

実は、C堂での演目がはじまる前、僕がC堂の裏手を見に行くと、C堂の裏で、ちょんまげ姿の人たちが刀を振り回していた。最初は、いい大人がチャンバラごっこでもしているのかな、と思ったのだが、最後の時代劇ショーを見て得心がいった。あれは、チャンバラ遊びをしていたのではなく、段取りの変更による殺陣の練習をしていたのだ。なんということのないお祭りで、観客もそれほどいない時代劇ショーだったのだが、それでもプロは、お客さんを楽しませようと、ギリギリまで殺陣の練習をしていたのである。

雨が降ったことでお祭りの予定に変更があり、そのおかげで、おそらく例年には見られないような貴重な場面を見ることができた。本来の調査の目的とは違うところにも、いくつもの収穫があった。

またこのお祭りを見に来るかどうかは、わからない。

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コメント

春が来た。

桜の季節の走行はサイクリングの醍醐味だ。

土日連続で乗っているからコシに来る。

包帯こう巻いても、疲れがヒデーよ、しかし。

投稿: 今日のこぶぎ | 2019年4月14日 (日) 23時00分

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