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儲けようと考えないこと

かなりしつこいが、4月27日(土)のことを、もう少し書く。

懇親会会場となったお店は、何とかカフェバーという名前のお店で、店名をたよりに検索をしてみたら、どうやら若者向けっぽいお店のようだった。

(うーむ。大林宣彦監督をお連れするには、ちょっと場違いなお店ではなかろうか。せっかくだから、地元の郷土料理が食べられるお店とかのがよかったんじゃないだろうか)

と、他人事ながら、少し心配になった。

午後6時、そのお店に入ると、その心配は杞憂に終わった。

たしかに若者向けのお店の作りなのだが、貸し切りだったこともあり、落ち着いてお話ができるようにテーブルが並べられていた。また、正面には大きなスクリーンがあり、映像が流せるような準備も整っていた。さらにうれしいことに、この日は特別メニューとのことで、店主のお母さんが作った郷土料理が並んでいた。そればかりでなく、カウンターには大林監督の映画のパンフレットが並んでいた。

よくよく聞いてみると、この店の店主は無類の映画好きらしく、大林監督を囲んだ懇親会をやるならばぜひこのお店で、というたっての希望があったらしい。なるほど、それで得心がいった。

店主にご挨拶することにした。店主は僕よりも若いようである。地元のSG市出身とのことだった。

僕の名刺を渡すと、店主は僕の名刺を見て言った。

「お勤め先はC県S市ですか?」

「そうです」

「僕、S市にある会社に勤めていたのです。だからあの辺の地理は、よくわかります」

「そうだったんですか!」

僕はビックリした。おそらく僕がいまの職場に移る前、彼はS市にある会社に勤めていたのだろう。そして入れ替わるように、僕はS市に移り、彼は、地元に戻ってきたのである。

「どうしても映画の仕事に関わりたくって、C劇場で映写技師のアルバイトをしていたこともあります」

「C劇場ですか!」僕はまたビックリした。「C県に住んでいた頃、よくC劇場に映画を見に行きましたよ。ほかではやらないような、良質のドキュメンタリー映画を上映したりするんですよね」

「ええ。それで僕も、その劇場でアルバイトをしたいと思ったんです」

「映写技師といったら、『ニュー・シネマ・パラダイス』ですよね」

「ええ。実は『ニュー・シネマ・パラダイス』を見て、映写技師の仕事をしようと思ったのです」

そこから、ちょっとした映画談義になった。といっても僕の映画体験はたかが知れており、店主の映画マニアぶりに圧倒されるばかりだった。

店主は、しばらく会社員をした後、地元に戻り、このお店をはじめた。店内には3000冊にもおよぶ映画のパンフレットが置いてある。映画や音楽が好きな人が集まれるようにとお店を開いたのだろう。

時間がなくてあまりお話はできなかったが、いつかまたこのお店に立ち寄ることもあるだろう。

映画館の館主夫妻、このイベントのスタッフの一人のKさん、卒業生の旧姓Mさん、NPOを主宰するNさん、そしてこの店の店主、等々…。この懇親会に集まった人たちで、何か映画をテーマにしたイベントができたら、さぞ面白いだろうなあ、と夢想した。

そんなことを夢想したのは、つい先日、ある企業とコラボするイベントについての会議に出席させられたからである。そのとき僕は、(あんまり一緒に仕事したくないなあ)という人たちの集まり、という感じがした。そう思ったのは、なんか向いてる方向が違う人たちだなあと思ったからである。月並みな言い方だが、結局仕事というのは、誰と仕事をしたいか、という一点に尽きるのだなあ、と思う。

そういえば講演会の時、大林監督は、NPOを主宰するNさん、つまり今回のイベントの仕掛け人を評して、こんなことをおっしゃった。

「この人のいいところはねえ。儲けようと考えないことなんだね」

たしかに、Nさんのお仕事は、野口久光さんのポスターを多くの人に見てもらおうというその一点の願いから生まれたものであり、決して儲かる仕事ではない。

たとえ儲からなくっても、共感できる人たちと仕事をしたい。4月27日は、そんなことをしみじみと考えさせられた一日だった。

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