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ドンジュさんの本

以前にも書いた、ドンジュさんから、本が送られてきた。

ドンジュさんは、僕が韓国留学中だったときに知り合った青年で、僕よりも8歳若い。僕が留学していた大学の出身者で、苦学して大学院を修了し、働きながら研究を続けている。大学の研究室主催の行事で、何度かお目にかかったのだが、まじめで寡黙な人なので、直接にはほとんどお話しする機会がなかった。僕は僕で、韓国語の実力が不十分なので、こちらから話しかけることもできず、結局、ほとんどお話しできないままお別れすることになってしまった。

それでも、帰国後、思い出したように、数年に一度、ドンジュさんはメールをくれた。メールの内容は、いつも難しい質問で、僕に聞けばなんとかなると思ってメールを送ってくれているようだった。でも僕は、その質問があまりに難解なのと、仮に答えようとしても、韓国語でそれを正確に伝える実力がなく、忙しいときなどは、ついつい後回しにしたり、さらにはそのまま返信せずに終わる、なんてこともあった。

考えてみれば、僕はひどく失礼な人間である。こんな人間、とっくに愛想を尽かされてしかるべしなのだが、それでもドンジュさんは、自分の中でわからないことがあると、僕にメールで質問してくれるのである。僕はそうとう買いかぶられているのだろうか、と思った。

前回は、学位論文を本にまとめている最中で、僕に聞きたいことがあるとメールをくれたのだった。忙しさに紛れて、ついぞ返信を出さずにいたら、本が送られてきたのである。学位論文をまとめた内容だった。結局僕は、何もアドバイスできないままだったのである。

僕は、彼にメールを書いた。

「お久しぶりです。本を拝受しました。この間の忙しさで、ずっと返信を送れなくてごめんなさい。学位論文の出版、おめでとうございます!詳細はこれからじっくりと読みますが、興味深い内容とお見受けしました。韓国でまたお会いして、積もる話ができればと思います」

これはリップサービスではなく、僕の本心だった。本の内容は実際、おもしろそうだったし、韓国でお目にかかって、これまでの非礼をお詫びしたいとも思ったのである。

するとほどなくして、ドンジュさんから返信が来た。

「鬼瓦先生、お久しぶりです。息災にお過ごしか、ずっと気になっておりました。

韓国においでになったら、お目にかかってたくさんのお話しを分かち合いたいです。

いつかお目にかかる日を楽しみにしながら、これからも精進いたします」

もちろん、社交辞令も含まれているのだろうが、社交辞令にしても、僕はそのように言ってもらえるような立派な人間ではないのだ。

精進しなければならないのは、僕の方である。

積極的に会ってくれる韓国の知り合いもいるのだが、頻繁に会うからといって、親しいとは限らない。

数年に一度のメールのやりとりでも、息災であることを確認するだけで安心する友人もいる。

本当は、そういう友人を大事にしなければならない、と、ドンジュさんからメールをもらうたびに、自分の非礼を棚に上げて、思うのだ。

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