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グリーンレクイエム

書くことがないので、ちょっとまたわからない話。

1988年に公開された映画で、「グリーンレクイエム」というのがあった。原作は新井素子の同名小説で、今関あきよし監督作品である。

主演は、鳥居かほりと坂上忍。今でこそ坂上忍は毒舌司会者として知られるが、実力派の子役俳優として知られ、この映画の頃は、いまでいう福士蒼汰みたいな位置にいたのだ。といっても、福士蒼汰がどんな俳優なのかわからないので、テキトーに言っているのだが。

まあそれはともかく、いかにも80年代のジュブナイル、といった感じの映画で、僕はこれを劇場で見たのではなく、レンタルビデオ屋さんで借りて、しかもそれをダビングして持っていた。

別に僕は原作の熱烈なファンでもなく(原作は読んだことがない)、鳥居かほりの熱烈なファンだったわけでもなかったのだ。それにこの映画じたい、今に至るまでソフト化されていないことからわかるように、それほど人々の話題にのぼった映画でもなかったのだ。にもかかわらず僕は、なぜかこの映画が気になっていて、当時ダビングしたビデオを繰り返し見たのである。

小林聡美が脇役で出ていたから、とか、今関あきよし監督が大林宣彦監督の助監督をしていたことがあるとか、そういった些末な理由はあるのだが、何より僕の心をとらえたのは、久石譲の音楽だった。映画音楽は久石譲が手がけたものだが、なかでも、劇中で女性歌手が歌われる歌が、僕の心をとらえて放さなかったのである。僕はその曲を聴きたいが為に、繰り返しその部分を見たのである。

この曲が、久石譲の作曲・編曲であることは、その曲調からすぐにわかったが、この劇中歌のタイトルと、歌っている女性歌手の名前がわからない。エンドクレジットのところに曲名が出てくるのだが、ダビングしたビデオ映像では、画像が粗くて字が潰れてしまって、何と書いてあるか読めなかった。

その後もこの歌のことがずっと気になり、もしCDで発売されているのならば、絶対に買おうと思っていたのだが、発売されているのかどうかもわからない。後年、インターネットの検索サイトが発達してから、検索サイトを駆使して、この映画のサントラが発売されているか探してみたのだが、どうもサントラは発売されていないらしかった。

かろうじて、この映画のメインタイトルであるピアノ曲は、久石譲のアルバム「Piano Stories」に収められていることを知った(ちなみにこれは名盤である)。もちろんこれはこれでよかったのだが、肝心の僕の探している劇中歌は、相変わらず見つからなかった。

折にふれて、この映画のDVDが発売されていないだろうか、とか、サントラが発売されていないだろうか、と調べているのだが、今に至るまで、そうしたことはないようである。

とあきらめていたところ、動画サイトで、「グリーンレクイエム」のサントラと題するものを見つけた。

 

一見してわかるように、これはサントラとして販売されたものではない。俳優の台詞が音楽に重なっていることから、実際の映画で流れた音楽の部分だけを、(おそらくビデオソフトから)抜き出して構成したものである。つまり苦肉の策として、「グリーンレクイエム」のファンの人が、ビデオソフトの音源から直接抜き出した、ファンならではの、手作りのサントラである。

この動画の、14分41秒頃から始まる歌が、まさに僕の探し求めていた歌である。

動画サイトの情報によると、この歌は「グリーン・レクイエム」というタイトルで、作詞が松井五郎、作・編曲が久石譲、唄が忍足敦子とある。

この情報をもとに調べてみたが、やはりこの歌がCD化されているといったことはないようである。忍足敦子さんという歌手の方も、初めて聞くお名前である。

ひとまず僕は、この歌と再会できたことに感激したのだが、それにしても驚くべきことは、僕と同じように、この「グリーンレクイエム」の音楽を忘れられないと思っている人が、この世の中に数名でもいるということである。そればかりでなく、その思いを共有しようと考える人もいるのだ。

この映画「グリーンレクイエム」の映像と音楽は、人々の記憶からどんどん失われてしまうだろうか。それはなんとも哀しい。いまや映画音楽の名手として確固たる地位を確立した久石譲の、「ナウシカ」や「ラピュタ」を手がけた頃と同時期の隠れた名作として、語り継いでいかなければならない。

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