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再会は約束せず

前回、唐突に、小田嶋隆さんの『友だちリクエストの返事が来ない午後』(太田出版)の本の一節をいくつか紹介してしまったが、この本は、ここ数年の僕にとっての「人間関係についてのバイブル」であり、折にふれて読んだりしている。このブログでも何度か取り上げてきた。

前回、紹介しなかったが、こんなことも書いてある。

「せっかくだから、この場を借りて若い人たちに言っておく。友だちに義理を通すなんて、そんなカタい考え方は捨てた方がいい。友だちは、どんどん裏切ってかまわない存在だ。すっぽかしたり忘れたり半年無視したりしても、会えば笑顔になる奴だけが本当の友だちだと、そう考えた方が気楽だし、裏切ったり裏切られたりしながらそれでもだらだら付き合って行くのが友情というものだよ」

僕はもう若くないが、この年齢になって、この言葉に溜飲が下がる。それで、思い出したことがある。

今年の、まだ春になる前のことだったか、あるところに出張することになり、その出張先の近くに古い友人が転勤して住んでいるというので、連絡をして会うことにした。ふだんは全然連絡をとっていない。といって、まったく疎遠だったかというと、そうでもなく、ちょっとした集まりで会ったりすることが、数年に一度くらい、あるかないか、といったていどである。

出張の用務が終わったのが夜8時過ぎで、それから合流し、適当な喫茶店を見つけて、そこで少しばかり話をした。

思い出話はあまりせず、近況もさらっと伝えるていどである。僕が2年ほど前に大病を患った話をすると、「それは大変でしたな」と、過度に心配するような様子は見せず、根掘り葉掘り聞かれることもなく、かえってその反応が僕にとっては心地よかった。

話の大半は、どーでもいい話。その内容も、ほとんど忘れてしまった。

しかし話題は止まることがなく、1時間ほどで喫茶店が閉店となったので、店を出た。そこから電車に乗り、僕は予約しているホテルまで行き、その友人は自宅に帰るわけだが、途中まで帰る方向が同じだったので、電車の中で、もう少し喋った。

あれこれと喋っているうちに、その友人が降りる駅に着いたので、話を途中で切り上げて、「じゃあまた」と、その友人は電車を降りた。

今となってはどんな話をしたのか、あまり覚えていないのだが、そのときその友人に勧められた本を、後日読んで、おもしろかったことが、その友人と会ったことの証かも知れない。

次にいつ会うかはわからない。お互いのコンディションのいいときがあれば、また何かのついでに会う機会もあるだろう。

そのときはまた、昨日の話の続きのごとく、話をするのだろう。

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