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生きていくための言葉

1歳5カ月になる娘が、RSウィルス感染症というものにかかった。

小さい頃にだれもがかかる病気だそうで、感染力が強いことから、どうやら保育園でもらってきたようである。

初めてかかると、かなりつらいらしい。治るまでに1週間はかかると医者に言われた。娘はすでに数日間、40度の高熱と闘っている。

寝たり、座ったり、といったことすら辛いようだ。うわごとのように、「あっこ、あっこ」と言っている。「あっこ」とは、抱っこのことである。

抱っこして部屋の中を歩きまわると、抱っこされている状態がずいぶんと落ち着くのか、おとなしくなる。

おとなしくなったなあと思って、抱っこしたままソファーに座ると、とたんに泣き出して、「あっこ、あっこ」と再び言い出す。

「抱っこしてるじゃん!」と思うのだが、娘にとって「あっこ」とは、たんに抱きかかえている状態を言うのではなく、立って抱きかかえることをいうらしい。

つまり、抱っこしている間、ずーっと、立ったままでいなければならないのである。これはこれで、かなりつらい。

僕は僕で、体調がよくないこともあり、すぐに疲れてしまい、その分、妻に負担をかけてしまうのだが、妻は妻で、娘の病気がうつったりして、これまた大変な状況である。

ということで、今週は、わが家は満身創痍なのだ。もちろん、いちばんつらいのは娘なのだから、泣き言は言えない。

娘はもうろうとした意識の中でも、自分の気持ちをなんとか言葉で伝えようとする。いまのところ、

「あっこ、あっこ」(抱っこ)

「おちゃ、おちゃ」(お茶)

「じーぷ、じーぷ」(スープ)

「あち、あち」(暑いまたは熱い)

「ごーごー」(からだダンダン)

「ちゃちゃちゃ」(おもちゃのチャチャチャ)

「あんぱんまん」(アンパンマン)

が、娘のボキャプラリーである。いまはこれらが、自分が生きていくために、親に要求すべき言葉なのだ。

人間は、生きていくために必要な言葉から覚えていくものなのだと、娘を見ていると、実感する。

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