写真展
拝啓 N様
ご無沙汰しております。4月27日(土)の大林宣彦監督の講演会の際にお目にかかった者です。その後に、お手紙をいただいたにもかかわらず、今に至るまで返信が滞ってしまい、大変失礼いたしました。
その際にご紹介いただいた、Nさんが企画協力されたという、野口久光さんと渡辺貞夫の写真展を、初日の8月15日に拝見することができました。残念ながら、その日のトークセッションは聞くことができませんでしたが、写真展を見ながら、とても充実した時間を過ごすことができました。
私事になりますが(4月の大林監督の会の時にも少し立ち話でお話ししましたが)、私は高校生の時に渡辺貞夫さんの音楽に魅せられ、高校の吹奏楽部に入部して、アルトサックスを手にしました。ライブも何度か見に行き、10代の私にとっては神様のような存在でした。その後、前の職場では、顧問をしていた音楽サークルの学生たちとバンドを組み、実に久しぶりにアルトサックスを練習して、学園祭で念願の渡辺貞夫さんの「ナイスショット」という曲を演奏したりしました。
大学生になってから、今度は大林宣彦監督の映画にどっぷりとハマり、ほとんどの映画を見ました。映画もそうですが、監督の「言葉」や「語り」にも魅せられ、映画のみならず監督の書かれた本も集めたり、ロケ地をめぐったりしました。大林監督は、やはり青春時代の私にとって神様のような存在でした。
その、10代の私にとっての2人の神様が、「野口久光」という人物を介して結び付いていたことをずいぶん後になってから知り(2014年のポスター展を見たことがきっかけです)、私はその不思議な因縁にたいへん驚き、あわせて、野口久光さんという方の人間的な魅力に思いを致さずにはいられませんでした。
このたびの写真展を拝見して、野口久光さんはパリという都会を、そして渡辺貞夫さんはアフリカやチベットなどの自然を背景にしている点が対照的でしたが、お二人の写真の雰囲気や、そこに写し出された人の表情といったものがとてもよく似ていると感じました。展示場で野口久光さんの写真を見ながら歩いていたら、いつのまにか渡辺貞夫さんの写真を見ていた、といったように、お二人の写真はごく自然な形で展示場の中で共存していたように思います。お二人のまなざしの先には、優しさがありました。写真の横で紹介されていた渡辺貞夫さんのコメントもすばらしく、音楽と同様の優しさが溢れておりました。
たんなる一ファンの戯れ言を書いてしまい、申し訳ございません。ひと言、一ファンの感想をお伝えしようと思い、このような戯れ言を書いた次第です。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
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