横文字天国
最近、心がアレなので、卑屈になってばかりいる。
少し前に、ある政治家が、生活保護者の人権に一定の制限を設けるという政策について、「フルスペックの人権」を認めるとか認めないとか、そういう言い方をしていた。これに対して小田嶋隆さんが「人権に「スペック」という概念を当てはめる感覚がシステム屋はだし」とツイートしていた。
「システム屋はだし」でなくとも、人権を「スペック」に見立てるという発想が生まれること自体、驚くべきことである。
「スペック」というのは、ようわからんが、「仕様。また、仕様書。規模・構造・性能などをまとめた表」という意味らしい。「ハイスペック」というのは「高性能」という意味で使われることが多いから、「スペック」とはつまり、「性能」ということなのだろう。
いろいろな言葉が、いとも簡単に、コンピューターのシステム用語に置き換えられていく。「人権」といった、これまで幾多の哲学者や法学者や政治学者が苦労して生み出してきた概念までもが、そうである。生身の人間が、まるでコンピューターの端末であるかのように扱われる。人間の思索は、AIではなくほかならぬ人間によって否定される。
そんなふうに、僕のまわりには、よくわからない横文字が溢れている。
思いつくままに書くと、もう一つ僕が苦手な言葉が、「コンプリート」である。コレクションなど、趣味の世界では、よく使われる。
最近、古い仲間数人と集まってお茶を飲みながら話をする機会があった。そのときに、「○○さんはどうしてるんだろうね。今度会いたい」とか、「××さんに最近会ってないから、会わないとね」みたいな話が出ていた。
そのやりとりを聞いて、僕は一つの仮説に行き着いた。それほど親しいわけではなかった古い仲間たちに僕が呼ばれたのは、再会を「コンプリート」するためだったのではないか、と。
僕は、特に最近はそういう場所にめったに行かなくなってしまったので、さしずめ僕はレアなキャラクターなのである。「コンプリート」したい人間にとっては、とにかく1回会っておこう、というだけの理由で、僕を呼んだのではないだろうか。
俺はチョコエッグか!言いたくなるのだが、それはおまえの被害妄想だよと言われるのがオチだから、言わない。
もちろん、こんな被害妄想を抱くのは、僕くらいのものかもしれない。だが同窓会とかクラス会なんてものは、程度の差こそあれ、再会の「コンプリート」が意識されているのではないだろうか。もし仮に、「コンプリート」を意識して再会する機会がつくられるのだとしたら、僕はそういう会にはちょっと遠慮したい、と思うのである。
「コンプリート」は、コレクションの世界にのみ、とどめておきたい。
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コメント
トラベルのスカイです。
この時期はエブリイヤーおなじみ、ムーンマウンテンでアウトドア・ステイなのだ。
ラブ・ミートのレイン模様なので、コテージのバルコニーにシットして、CWニコルよろしくセンテンスをライトすべく、パソコンをウィズミーしたものの、
結局ライティングしてるのは、コメントオンリー(ラーフ)。
あ、鬼瓦カーはワイドな荷台が作れるので、スリーピングインカーにフィットしてますので、
ホスピタルのパーキングに乗り付けて、カーの中に布団を敷いてスリーピングすればいいかも。
イン・ホスピタルでも、アウトドアの知恵をユーズして、テントでスリープするのと同じく、フロアにマットを敷いて寝袋で寝れば、マザーもフィル・ベターかもね。
投稿: CWこぶぎ | 2019年9月 2日 (月) 11時37分