市民の日
9月29日(日)
いま住んでいる町には、世界的に有名なアニメ制作会社の、美術館がある。
いまの町に移り住んだのが1年半ほど前なのだが、僕はまだその美術館に行く機会がなかった。あまりに人気がありすぎて、入場制限をするために、近くに住んでいたとしても、おいそれとは行けないのである。
ところが年に一度、「市民の日」というのがあり、その日は、市民が事前に申し込んで当選すれば、無料で入場できるのだという。
それもまた競争率が高いらしいのだが、運がよいことに、当選のハガキが届いたので、「市民の日」である今日、その美術館に行くことにした。
自宅から歩いて20~30分ほどの距離である。
僕は、その制作会社のアニメ映画にそれほど思い入れがないのだが、マニアにはたまらない美術館なのだろう。
美術館の中でしか上映していないという短編アニメが見られるというので、見てみることにした。上映時間は12分ほどである。
軽い気持ちで見てみたのだが、幼い子どもが見たら、トラウマになるのではないかと思うような内容だった。
鳥の羽を持つ奇怪な老婆が登場する。彼女は異常な食欲をもち、あらゆるものを食い散らかす。
いちばんの好物は、人骨を小麦粉のように砕いて粉にして、それを練ってパンを作ることである。毎日大量の人骨を粉にしてパンの材料にしている。
卵も大好物で、毎日大量の卵を食べるのだが、あるとき、生きている卵を見つけ、その卵を自分の家で奴隷のようにこき使うようになる。
生きている卵は、鳥の羽を持つ奇怪な老婆のもとで、奴隷のように働かされてパン作りに励むのだが、あるとき、自分の作ったパン生地に生命が宿り、生きている卵と心を通わせるようになる。
パン生地はいずれ、焼かれて老婆に食われる運命である。生きている卵にしたって、老婆にこき使われて一生が終わってしまう。パン生地と卵は、手を取り合って老婆のもとから逃げ出すのである。
それに気づいた老婆は、二人を執拗に追いかける。二人は何とか逃げようとするが、ついに老婆に見つかってしまう。老婆は生きているパン生地を、まるで火葬場で遺体を焼くがごとく、オーブンの中に入れて焼き上げようとするのである。
さて、二人の運命や如何に?
映画の内容をこうして文字にして書くと、なんとも残酷な映画ではないか。
実際、上映が終わると、泣き出す子どももいた。うちの娘も怖かったようで、見終わってから少しだけ泣いた。
あの、世界的に有名なアニメ映画の巨匠は、子どもに夢を与えるよりもむしろ、トラウマを植え付けることに喜びを感じているのではないかとさえ、思えるのである。
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- KOC雑感2024(2024.10.19)
- ドリーム(2024.10.01)
- わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!(2024.09.22)
- 団地のふたり(2024.09.16)
- きみの色(2024.09.08)
コメント
その映画はネットではかなり評判がいいです。
その美術館に通うような人々は「面白い映画」(2002)みたいに見ているかと。
https://youtu.be/p0WHIJWkxBU
投稿: 映画を映画で例えるこぶぎ | 2019年9月30日 (月) 01時09分