安定剤
往復5時間の通勤の間、何をしているかというと、もっぱら「ラジオクラウド」を聴いている。
おもにいつも聴いているのは、文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」とTBSラジオ「荻上チキSession22」である。
「ゴールデンラジオ」のほうは、TBSラジオ「荒川強啓 デイキャッチ」が終了してしまい、「強啓ロス」になった後から聴き始めたので、まだ聴き始めて1年経っていない。実際に聴いてみると、青木理とか宮台慎司とか、「デイキャッチ」に出演していたレギュラーコメンテーターが、2カ月に1度くらいの割合で出演しているので、番組のテイストはほとんどデイキャッチである。「大竹紳士交遊録」というラジオコラムのようなコーナーがあるのだが、そこに出演する曜日レギュラー(森永卓郎、武田砂鉄、深澤真紀、きたろう、みうらじゅん、金子勝など)の話も、聴いていて飽きない。
いままで、なぜ聴いてこなかったのだろうと悔やまれる。
僕は20代の一時期、シティーボーイズのコントを信奉していたから、大竹まことにはことのほか思い入れがある。自分にとって憧れの「ダメ人間」なのである。大竹まことも古稀になり、いまや「おじいちゃんラジオパーソナリティー」である。
「Session22」の荻上チキは、僕よりもずっと年下だが、よく勉強していて、キレッキレのコメントをする。ただ、理が勝ちすぎるきらいがある。ものすごく出来のいい大学院生のゼミ発表を聴いているような印象である。もちろんこれは、褒め言葉である。
大竹まことのラジオで一貫しているのは、マイノリティーに対する暖かなまなざし、弱者をないがしろにするこの国のしくみに対する怒り、である。それは、大竹まことの歩んできた人生による影響が大きいのだろうが、上岡龍太郎との出会いも大きかったのではないかとも愚考する。
僕にとってはこの二つが、この国のメディアの最後の砦である。もしこの番組がなくなったら、僕にはもう頼るメディアがない。
そんなふうに、僕の日常はこの二つのラジオ番組を聴くことに支えられているのだが、先日の金曜日(10日)、「荻上チキ Session22」で新春対談として、荻上チキと大竹まことの対談があった。もちろん、二つの番組のリスナーである僕にとっては、涙ものの企画である。
親子ほどの年齢差がある2人、そして、「論理のチキ、感情の大竹」ともいうべき対照的な2人が、ラジオパーソナリティーとして尊敬し合い、お互いの番組に敬意を表している、ということや、Session22で荻上チキをサポートしている南部広美さんのことを、大竹まことが高く評価していた、といったことは、二つの番組のファンである僕にとって、涙腺が緩くなるトークだったのだが、対談の最後のほうで、大竹まことが、
「ラジオは、面白いだけではダメだ。安心を届ける役割、安定剤のような存在でないといけない」
と言っていたことに深く共感した。
僕にとってラジオは、精神安定剤なのだ。そして、いまの自分に合う安定剤が、この二つの番組なのだろう。
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