パラレルワールド
2月28日(金)
うちの職場も、ついに2週間ほど休業とすることに決まった。といっても、通常の仕事はそのままである。
「人はみな 同じ方向に向いて行く それを横から見てゐる心」(石川啄木)
ご乱心、というべきか、昨日、急に全国の小中高校の休校要請が、政府の、しかも最高権力者から発せられた。
あくまでも「要請」だと言っているようだが、その言葉が最高権力者から発せられたのである。国民性からして、誰もが従わざるを得ない雰囲気になるのは当然である。これを最近の言葉で「パワー・ハラスメント」という。
その場にいた(と思われる)所轄省の大臣も寝耳に水の話のようで、その後の対応を見る限り、うろたえているばかりである。もともとは威張り散らしたいだけの、人の上に立つ器ではない人間なので、致し方あるまい。
一見して勇ましいような「寝耳に水」の決断を、トップダウンの決断、というのかも知れないが、まあ、通常の組織ではまず許されない。
トップダウンの決断というのが、いかにダメかという見本である。三流のビジネス本にすら、こんなことがよいことだとは書いていないはずである。
このたびの政権というのは、通常の組織に置き換えるとまるで許されないことを、いくつも行っている。
一般の職場では、書類作成に追われ、決済までに幾重もの手続きを必要とし、公文書の改ざんが犯罪となり、予算内に事業を遂行することが求められ、はては、イベントの自粛が強要される。
その一方で、あるところでは、公文書が改ざんされ、廃棄され、決済が口頭で行われ、予算を大幅に超過しても許されるような花見が盛大に行われ、イベントの自粛を呼びかけているそばで、政治家による立食パーティーが何のためらいもなく行われている。
いま僕らは、そんなパラレルワールドに生きているのだ。
怒っていいはずなのだが、誰も怒らない。
怒らないはずだ。だって僕らは、あっちの世界をパラレルワールドだと思ってぼんやりと眺めているだけなのだから。
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