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僕の町のコメディアン

3月30日(月)

僕の住んでいる町に、一人のコメディアンが住んでいた。

僕がいまの町に引っ越してきたのは、いまから2年ほど前のことで、引っ越してからほどなくして、同じ町内に、そのコメディアンが住んでいることを知った。

僕の住んでいるマンションから、おそらく歩いて10分ほどのところに、そのコメディアンの家はある。僕が中学生とか高校生だったなら、そのコメディアンの家を探しに行ったかもしれないが、50歳を超えた僕には、わざわざ家を探しに行くほどの無邪気さはもうなく、だいたいの場所を知るのみだった。そのうち、町を歩いていたらどこかでひょっこりすれ違ったりして、という淡い期待を抱きながら。

そのコメディアンが、新型コロナウィルスに感染し、重度の肺炎のため入院したというニュースを聞いたとき、

(もう、戻ってこないだろうなあ)

という予感がした。

僕の父は、2年半ほど前に肺炎で亡くなった。もともと肺に持病を持ち、晩年は酸素吸入器が手放せなかったほどだった。ある日突然、肺炎が重症化し、入院してから4日目で亡くなったのである。76歳であった。

重症化した肺炎の苦しみを傍らで見てきた僕は、そのコメディアンもおそらく、そのように苦しんでいるのだろうと想像した。そのコメディアンは70歳。高齢者が重症化した肺炎にかかったという点では、父と同じだった。父よりも若いそのコメディアンは、父よりも幾分は持ちこたえるだろうというのが、僕の予感だった。そのコメディアンが3月20日に入院して1週間ほどたったあたりから、どうにも胸騒ぎがして仕方がなかったのである。

そして今日のニュースで、昨日、そのコメディアンが亡くなったことを知ったのである。

僕の町のコメディアンは、もういない。

泣ける映画

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