感染とジェンダー
まずこの棒グラフを見てもらいたいのだが。
インターネットで拾った画像で、しかも少し前のデータなので、どれほど信憑性があるのかよくわからないのだが、これをみると、40代をピークに、30代~50代の男性に、新型コロナウィルスの感染者数が多いことがわかる。
これをSNSに載せた人は、「どう見ても、通勤で満員電車に乗っている人が被害に遭っているとしか思えない」と書いているのだが、そうとばかりも言えない。女性だって満員電車に乗って通勤しているのだから、働き盛りの女性の感染者数が増えてもおかしくないと思うのだが、そうなってはいない。
では、生物学的に、男性が罹りやすく、女性が罹りにくいのか?それもあり得ない。
今日は都内の病院に定期の検査に行くことになっていた。このご時世に、長時間電車で移動して、病院に行くというのは、かなりのリスクをともなう行為なのだが、こちらの健康にも関わる問題なので、仕方がない。
検査結果は期待外れだったのだが、まあそれは置いといて。
検査が終わると、すでにお昼の12時をまわっていた。お腹がすいたので、近くの食堂でご飯を食べることにした。
病院は、オフィス街と観光街が接しているような場所にあり、コロナ禍が起こる前は、平日でも観光客やビジネスマンで賑わっているところだった。
だがさすがに、今日は、観光客がほとんどいない。観光街のところのお店も、ほとんどがシャッターを下ろしている。
開店している食堂に入ると、ちょうど会社もお昼休みなのだろう、僕と年齢が同じくらいか、それよりちょっと下くらいの、それこそ30代~50代のスーツ姿のサラリーマンが何組かその店にすでにいた。
僕はそこで目を疑ったのだが、スーツ姿のサラリーマンたちは、狭いテーブルを囲んで、いわゆる「濃厚接触」の距離で座っていて、さらに驚いたことに、全員、マスクをしていないのだ。
そこで何をしているかというと、大声でしゃべり、ときには大声で笑う、という行為を繰り返していた。
これって、いちばんやっちゃいけないんじゃね?マスクもせずに大声を出したり大声で笑ったりすると、たちまち飛沫感染するんじゃねえの??!!
ニュースに疎い僕でも、さすがにそれくらいは何となくわかる。というか、この期に及んで、どうして複数で連れだって昼ご飯を食べに行くの???バカなんじゃないの?
しかしそのおじさんたちは、そんなことお構いなしと言わんばかりに、大声で話をして、大声で笑い合っていたのだ。それも一組だけではない。何組もだ。
僕は食堂に入ったことを後悔したのだが、仕方がない。じっと息を潜めていることにした。
このとき僕は、冒頭の棒グラフのことを思い出したのだ。
なぜ、30代~50代の男性に感染者が多いのか?それは、こういうところに原因が潜んでいるのではないか?
もちろん夜のお店の可能性も高いのだろう。だがそれだけではない。昼休みに、会社の同僚たちが、みんなで連れ立って昼ご飯を食べに行くという、サラリーマン特有の習慣から抜けきれないおじさんたちが、緊急事態宣言の後も、相当な数いるのではないだろうか。
僕はサラリーマンになったことがないのでよくわからないのだが、都心のサラリーマンってものは、おじさんたちがみんなで連れ立ってお昼を食べに行くんじゃないの?そういう光景をよく見かけるんだけど、偏見だろうか?一緒にご飯を食べに行かないと、死んじゃうの?
こんなご時世にリモートワークができずに会社に出社しなければならないことについては、かなり同情の余地がある。だが、であればなおのこと、なるべく感染しないように、お昼はお弁当か何かにして、できるだけ人が接触しないような場所で食べるとか、ふだんの習慣を変える工夫が必要である。だが察するに、おじさんたちは、ふだんの習慣を変えようとしないのである。
というか、誰かが「こういうの、やめましょう」と言えばすむ話なのだが、同調圧力の強いこの国の会社のなかでは、その一言すら、言うことができないのだ。
対して女性は、そういうことに対してかなり敏感に反応し、ふだんの習慣を見直すことに長けているのではないか。
その違いが、男女の感染者数の違いとなってあらわれているのではないか。
つまりこれは、ジェンダーの問題である、というのが僕の仮説。
感染拡大を防ぐには、こうしたジェンダーによる習慣を見直してみる必要もある、というのは飛躍しすぎだろうか。
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