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厳戒態勢

4月15日(水)

1週間ぶりの外出である。定期の検査のため、自宅からバスと電車を乗り継いで1時間半ほどかかる病院へ行かなければならない。

日中だったせいもあって、ふだんは混雑している電車の中はガラガラであった。心なしか車内の雰囲気がピリピリしている。あるおじさんが咳をしたら、近くにいた人たちがササッと離れていった。

病院に着くと、入り口の外のところにテントがはってあり、そこで体温をはかってから中に入った。問題ない人には緑色の丸いシールを服の上に貼られた。2か所ある入り口は1か所に制限されていた。人の出入りを一元化するためであろう。

夕方近くだったこともあり、大きな病院だが、人の数はまばらだった。尿検査と血液検査をすませていつものようにCT検査の部屋に行くと、

「鬼瓦さん、今回は血液検査の結果が出てからCT検査をするか判断しますので、1時間ほどお待ちいただけますか?」

と言われた。

ふだんならば血液検査の後、そのままCT検査をする流れだったと記憶しているが、なぜ今回はこんなことを言われたのだろう?ひょっとして新型コロナウィルスのことが影響しているのか?血液検査で新型コロナウィルス感染の可能性がわかるとか?…だがそんな話は聞いたことがない。

言われた通り、病院の中で待っていることにしたが、このご時世、病院の中で時間をつぶすのはなかなかに勇気がいる。

1時間が経ち、CT検査の部屋に行くと、「血液検査の結果が出たのでどうぞ」と、中に通された。

僕は看護師さんに思い切って聞いてみた。

「あのう…、いつもは血液検査の結果にかかわらず検査をしていたと思うんですが、今回血液検査の結果が出てからCT検査をするのはなぜでしょうか」

「特別なことではありませんよ。いつもの通りです」

「そうでしたか…。ひょっとして新型コロナウィルスのことが関係しているのではないかと…」

「それは違います。全然関係ありません!」

看護師さんは、なかば食い気味に、僕の疑問を否定した。

「そうですよね。すみません」

僕は反省した。「新型コロナウィルス」という言葉は、病院の中でうかつに口にしてはいけなかったのだ。そうでなくとも病院の中はピリピリしているのだから。ましてやド素人の僕が軽々に口にするべきではなかった。どうも最近は軽率なことばかりしてよくない。

いま、新型コロナウィルスという言葉に最もナイーブになっているのは、医療スタッフの方々であることを、あらためて実感したのである。

検査は無事に終わり、明日は検査結果を聞きに再びこの病院を訪れる。検査から診察までの間が、僕にとって最も憂鬱な時間である。

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