大林映画総選挙
今ごろ気がついたんだが、ライムスター宇多丸さんの「アトロク」の4月23日放送分で、「“さよなら、大林監督。” 追悼特別企画<大林監督作品>総選挙!」というのをやっていたんだね。順位は以下の通り。
第1位 『時をかける少女』1983年7月16日・公開
第2位 『さびしんぼう』1985年4月13日・公開
第3位 『青春デンデケデケデケ』1992年10月31日・公開
第4位 『ふたり』1991年5月11日・公開
第5位 『転校生』1982年4月17日・公開
第6位 『この空の花 長岡花火物語 』2012年4月7日・公開
第7位 『HOUSE 』1977年7月30日・公開
第8位 『異人たちとの夏』1988年9月15日・公開
第9位 『はるか、ノスタルジイ』1993年2月20日・公開
第10位 『花筐』2017年12月16日・公開
なんというか、実に良心的な順位である。非常にバランスのとれたランキングである。
いわゆる「尾道三部作」がランクインしているのは当然として、注目されるのは、「青春デンデケデケデケ」「ふたり」「はるか、ノスタルジイ」の3作品がランクインしていることである。
1991年公開の映画「ふたり」(赤川次郎原作)は、「新・尾道三部作」の第1作として作られた。といっても、2作目の「あした」、3作目の「あの、夏の日。とんでろじいちゃん」は、あまり知られていない。
僕にとっては、「ふたり」「青春デンデケデケデケ」「はるか、ノスタルジイ」こそが、90年代初頭の三部作(あるいは50代三部作)なのである。この時期は、大林監督にとって「脂の乗った」時期なのである。
もう一つ、この3作品に共通しているのは、映画のポスターをあの野口久光さんに画いてもらったということである。別の言い方をすれば「野口久光三部作」といってもよい。映画公開の当初から、この3作品は特別な存在だったのだ。だからこの3作品がランクインしているのは、きわめて当然のことなのである。
さらに興味深いのは、「この空の花」と「花筐」の2作品がランクインしていること。これは、晩年のいわゆる「戦争三部作」のうちの2つである。
「この空の花」以降の作品もまた、作品の熱量が尋常ではなく、大林映画に注目が集まった時期である。
こうしてみてくると、
80年代前半期の「尾道三部作」
90年代初頭の「野口久光三部作」
2011年の東日本大震災以降の「戦争三部作」
この3つの時期が、大林監督が神がかった映画を作った時期ということになる。
それが、正直にこのランキングにあらわれているというのが、うれしい。
ちなみに、「HOUSE」は商業映画デビュー作品で、かつその後の作風を決定づけたものとして別格。
「異人たちとの夏」は、大林映画の中で最も一般に広く薦められる映画として、これもまた別格である。
僕自身のベストテンについては、機会があったらいずれ述べる。
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