弁護人
GyaOでソン・ガンホ主演の「弁護人」(2013年)を観た。
1981年に軍事政権下の韓国で実際に起きた冤罪事件である釜林事件を題材にしていて、主人公は3代前の盧武鉉(ノムヒョン)大統領がモデルになっている。
弁護士だった盧武鉉はのちに金大中(キムデジュン)に続くリベラル派の大統領となり、引退後はお金の問題で逮捕されて、崖から飛び降りて自殺してしまった。
僕が韓国に住んでいた2009年のことで、ちょうど10年前のことなんだね。ニュースを見てびっくりしたのを覚えている。僕は当時、韓国の地方都市に住んでいたが、ちょうど永訣式の前日にソウルに行ったら、市民の人たちが追悼デモみたいのをやっていて、僕もついでに参加した。
ソン・ガンホはおそらくこの映画に主演したことがきっかけで、保守派のパク・クネ大統領のときに、反体制派のブラックリストに載ったのである。
でもソン・ガンホは、「大統領の理髪師」という映画で、パク・クネのお父さんであるパク・チョンヒ大統領のお抱えの理髪師役をやっている。そこではパク・チョンヒ大統領に気に入られているのである。パク・クネ大統領は、お父さんの髪を散髪してくれたソン・ガンホに恩を仇で返したわけである。
そのパク・クネ大統領も捕まり、いまは盧武鉉大統領に見いだされた文在寅が大統領となり、ソン・ガンホはアカデミー賞をとったのだから、時代の移り変わりというのは、じつにおもしろいものである。
いま、この国では芸能人が政治に口出しするなという風潮が強いけれど、隣の国では、どんな名優も臆せず政治色の強い映画に出演する。民主主義を、闘って勝ち取ったのか、お上から与えられて粛々と従ったのかという、「お国柄」の違いによるところが大きい。
映画「1987 ある闘いの真実」は、「弁護人」の続編として観ると、また興味深い。
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投稿: 518こぶぎ | 2020年5月29日 (金) 05時27分