サイレント作戦と自粛警察
5月14日(木)
ほんと、何も書くことがない。
YouTubeの円谷プロ公式チャンネルで配信中の「ウルトラマン80」第7話「東京サイレント作戦」は、音に敏感な怪獣が東京に現れ、音に反応して怪獣が暴れ回るので、東京から音を消す、という作戦に出る、という話である。東京から音をなくすためには、人々が音を立てずに生活をするしか方法がない。そこでUGM(地球防衛軍)は「東京サイレント作戦」を決行する。
人々は外出の自粛を余儀なくされ、賑やかだった町は、だんだんゴーストタウンのように静かになっていく。町の電光掲示板には、音の強さが数値であらわされ、その数値が日を追うごとに小さくなっていく。やがてその怪獣は、反応すべき音を失い、眠りについてしまう。
ところが、主人公・矢的猛の教え子の生徒たちが、バンドの練習場所に困り、野原の真中で演奏を始めたところ、いったん眠っていた怪獣は、その音に反応して目覚めてしまったのである。
…と、ここまで書いてきてわかるように、このエピソードは、新型コロナウィルスの脅威によりいま僕たちが置かれている状況を、寓話的に描いているように思えてならない。
新型ウィルス感染をめぐる一連の騒動が、しばしば映画「シン・ゴジラ」にたとえられるように、怪獣の寓話と新型ウィルスの拡大は親和性が高いのである。
もう一つ、最近2歳の娘がピクサー映画「トイストーリー3」ばかり見ていて、僕は横から断片的に見ているにすぎないのだが、どうやらレギュラー陣のおもちゃが、持ち主のアンディーのもとを離れ、とある保育園にやってくる、という話のようである。
その保育園は、まるで監獄のようなところで、おもちゃがおもちゃを監視し、逃げ出そうものならたちまち連れ戻される。
至る所に監視カメラがあり、その監視カメラを凝視しているのは、おもちゃの猿である。監視カメラに不穏な動きが映し出されると、おもちゃの猿はすぐに手に持っているシンバルを打ち鳴らし、「ギャー」と叫ぶ。それにより、脱走しようとするおもちゃがたちどころに摘発されるというわけである。
ストーリーをちゃんと把握していないことを最初にお断りしておくが、これもまた、いまの僕たちが置かれている状況で言えば、「自粛警察」のようなものではないか。人間がおもちゃを監視しているのではなく、おもちゃがおもちゃを監視しているのである。
僕らはいま、寓話的世界の中に生きているのだ。
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コメント
放送当時
「サイレント作戦は戦時中の灯火管制を想起させるからダメ!」
というクレームがあったという。
日本は外出を法律で禁止していないのに、国民の努力で感染者が減少しています。法律で縛らなくても自粛できる国民万歳。
みたいな主張が目に付くようになってきました。
「法律で禁止しない」ではなく「制度上できない」独裁できない仕組みなわけで(まぁ実際は独裁ですが・・・)
最近のこの国の空気が非常に気持ち悪いです。
ある外国人が日本には6つの文字がある「ひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字、顔文字、空気」と言ったとか。上手い。
投稿: 江戸川 | 2020年5月15日 (金) 16時14分
まったく、「欲しがりません勝つまでは」のスローガンがいまも生きているような国だね。
投稿: onigawaragonzou | 2020年5月16日 (土) 01時32分