第三番惑星の奇跡
僕は平成ウルトラマンシリーズはまったく見たことがないのだが、YouTubeの円谷プロチャンネルで配信中の『ウルトラマンマックス』の第15話「第三番惑星の奇跡」を見て、度肝を抜かれた。『ルパン三世 パート2』シリーズの最終話(宮崎駿演出)を見たときとまったく同じ印象を持ったのである。
何なんだ!たかだか30分番組なのにまるで映画みたいにホンイキで作っているではないか!
こういうのを「神回」っていうんだろうな。もうなんというか、心を全部持っていかれた感じ。
演出にまったく無駄がない。冒頭から引き込まれ、中盤のアクション、そして感動のラスト。
なんと三池崇史監督が演出していたのだ。そりゃあすげえはずだよ。
怪獣を暴力的に攻撃すると、その怪獣はまったく同じ暴力でウルトラマンマックスを攻撃する。どんな攻撃を仕掛けても、同じ攻撃で返されるのである。かくして暴力による争いは泥沼化する。
ところが、ある盲目の少女が、怪獣の目の前でピッコロを吹き、音楽の力で怪獣の暴力性を失わせるのである。
そのときの曲がショパンの「別れの曲」!これがまたいいんだ!
ちょっと思い出したのは、大林宣彦監督の映画「漂流教室」。これはファンの間でも酷評された映画なのだが、この映画の中で、巨大なゴキブリみたいな怪獣が学校の生徒たちに襲いかかる。間一髪、先生がピアノを弾いて音楽を奏でると、怪獣は生徒たちへの襲撃をやめておとなしく立ち去っていくという場面があった。もちろん、大林監督と三池監督はまったく関係がないのだが、「別れの曲」といい、大林映画ファンにもたまらない演出になっている。
ほとんど説明になっていないが、平成シリーズといってもひとくくりにできないのだと、反省した。
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コメント
平成ウルトラシリーズといっても、
ティガ~ガイアの1期。コスモス以降の2期があります。
私はティガ放送開始時中学1年生。
いちおう見てみたもののショボいCGと浅いストーリーに絶望。
既に私はセブン2周目に入り作品の深さに引き込まれている危ない奴でしたので。
で、当然離れるわけですが、実相寺監督の訃報に触れ、どうやらマックスとやらは初代懐古世代が製作しているらしいぞと。
調べてみると平成ガメラの金子監督。実相寺監督の名前もあるじゃないか。
そして
第24話「狙われない街」
を見たのです。
とりあえず涙が出たのは覚えています。
内容は書きません。できれば見ていただきたいから。
先生には説明不要でしょうが、あの名作の続編、いや続編を作りたかった当時の若者たちの嘆きの結晶というべきでしょうか。
なんか最近濃いコメントで申しわけございません。
投稿: 江戸川 | 2020年5月18日 (月) 20時56分
いやいや、江戸川君の濃いコメントをこちらも期待して記事を書いてます。
本当に僕は平成ウルトラシリーズの知識が皆無なのだが、ウルトラマンマックスの造形には、ひと目見てほかの平成シリーズにはないノスタルジーを感じて、素直に入り込めたのです。そうでなければ、配信されていても見ようという気にはならなかった。
投稿: onigawaragonzou | 2020年5月19日 (火) 01時18分