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東京アラートが発動された日

6月2日(火)

実に久しぶりに、職場に出勤した!

久しぶりに出勤すると、身体が慣れていないのか、職場に着いたとたん脂汗をかいて、めまいがしたのだが、午後になるにつれて体調は持ち直した。

午前中は、僕が議長をつとめる会議で、今月もまたzoom会議である。「会議と○○は短い方がいい」というのが僕のモットーで、今回は40分ほどで終了した。

それから、こまごまとした案件をいくつか対応しているうちに、あっという間に夕方になってしまった。

職場は、思っていたより多くの人たちが出勤していた。ほぼ2か月ぶりに出勤した僕としては、月並みな言い方だが「浦島太郎」状態である。

家に着いたらどっと疲れた。

そしたらあーた、久しぶりに出勤したその日に、東京は感染者数がまた増加したとかで、「東京アラート」が発動されたというではないか。…ところで「東京アラート」って何?東京駅で売っている甘いお菓子のことかと思った。

…という軽口はさておき。

僕はいつも不思議に思っていることがあるのだが。

僕はよく、「企画もの」とか「シリーズもの」といった本で、大勢の執筆者のうちの一人として、決められたテーマで原稿を書かされることがある。

そういう原稿って、自分で書いていて、そうとうつまんないんだよね。だって書いている本人が、

(こんな文章、誰が読むんだよ!)

と思いながら書いているんだもん。

それでも、こっちはプロだから、一応それなりの原稿を仕上げるのである。

(企画はアレだし、本のデザインもいまひとつだし、その割には値段も決して安くはないし、こんな本買う人いるのかなあ)

と思っていると、それが売れて重版出来!となったりする。なかには3刷とか。

僕は、自分が本当におもしろいと思って労力をかけて作った本は、いままで一度も重版になったことがないが、逆に、人に頼まれて、その他大勢の1人として義務的に書かされた「企画もの」は、重版になる確率がかなり高いのである。

つまり、僕がいままで書いた原稿の中で売れているのが、そのたぐいの本ばかりなのだ。

これはいったいどういうことだ?

出版社の戦略があたったということか?いや、それにしては全体にそうとう地味な内容だぞ。

それとも、僕以外の執筆者が、とても魅力的な人たちばかりで、そのネームバリューに惹かれて買うとか?

目次を見直してみると、僕を使うくらいだから推して知るべしということで「うーん」と唸ってしまうのだが、それはあくまで僕の感覚であり、読者の感じ入るところとは異なるのだろう。

どうして自分がおもしろいと思って苦労して作った本が売れずに、人に言われて書いた、さほど斬新ではない職業的文章の方が読まれるのだろう?人の敷いたレールの上で書いた文章の方が読まれるのだから、自分のセンスの悪さを恨むばかりである。

ま、それでも、誰かの役には立っているのだろうと、思い直し、与えられた仕事を誠実に取り組むことにしている。

ただこうした経験から僕が確信したことは、

「売れる本が、いい本であるとは限らない。かといって、売れない本がいい本であるとも限らないのだが、それでも、売れない本の中にいい本がある可能性をつぶしてはいけない」

ということなのだ。一読者としての僕は、売れる本には疑うことから始めることにしている。

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