東京サンシャインボーイズの昔の傑作舞台「ショー・マスト・ゴー・オン」の中で、女役を演じる男優と新人脚本家による、こんなやりとりがあった。
「先生よ~。今度俺のためにホン書いてくれよ」
「たとえばどんなのがいいんです?」
「『おんなねずみ小僧』みたいなやつ。たとえば、『おんな旗本退屈男』とか」
「『おんな旗本退屈男』って、女なんですか、男なんですか?」
「じゃあ、『おんな八百屋お七』ってのはどうです?」
「『八百屋お七』ってのはもともと女なんじゃないですか?」
みたいなやりとり。
これになぞらえれば、「オンラインオフ会」って、オンなのかオフなのかよくわからないが、我ながらよい命名である。
4連休のうちの前半2日は、リモート三昧だった。
23日(木)は、オンライン研究会だった。オンライン研究会自体は、2回目の体験である。
実際にやってみると、対面で行うのと、ほとんど大差がないことに気づく。スライドなんかも、画面共有すれば鮮明に見られるので、対面の研究会よりもむしろ見やすい。
なにより、会場を確保したり、配付資料を人数分用意したり、みたいな面倒くさい準備も不要なのでかえって楽である。
24日(金)も、オンライン会議やらオンライン打ち合わせやらオンラインオフ会やらで、ほぼ丸一日、リモート漬けだった。
オンライン会議は、わざわざ重い荷物を持って都内に出向いて…みたいな面倒なプロセスが必要ないし、対面とほぼ変わらない意見交換ができるので、もうリモートでいいんじゃねえの?という思いを強くする。
オンラインオフ会も、長距離を移動して会いに行く、というプロセスは楽しめないものの、考え方を変えれば移動の負担を考えずに会うことができるので、やはりこれも新鮮な体験だった。
お笑いタレントの事務所であるASH&Dコーポレーションというところに所属する「阿佐ヶ谷姉妹」「ザ・ギース」「ラブレターズ」という3組のお笑い芸人が、YouTubeで「東京リモートコントメン」というコントライブを配信していたので、見てみたのだが、これがなかなか面白かった。
ASH&Dコーポレーションって、もともと大竹まこと、斉木しげる、きたろうの「シティーボーイズ」が所属する事務所だったのだが、今では芸人やタレントの数も増えて、とくにコントに強い芸能事務所といったイメージを築きつつある。
僕がこのライブを面白いと思ったところは、今までのような劇場の舞台でやるコントをそのまま配信する、というのではなく、設定をそもそもリモートにする、という点だった。
「ラブレターズ」は、コロナ禍で卒業式ができなかった学校が、リモートで卒業式をやることになった、という設定で、画面上では校長先生と答辞を読む生徒との間でボケとツッコミが繰り広げられる、というコントであった。
「ザ・ギース」は、やはりコロナ禍で直接不動産屋さんに行けないお客さんが、オンラインを通じて不動産屋さんに部屋探しを相談する、という設定で、やはりオンライン上の画面でボケとツッコミが繰り広げられる。
つまり、リモートそのものを設定としたコントなのである。うーむ、わかりにくかったかな。説明が下手ですみません。
とにかく、リモートという制約の中で、コントのあり方も変わってくるのだな、ということが実感できるようなライブだった。
そう考えれば、会議だって研究会だって飲み会だって、リモートの可能性をもっと追求すれば、面白くなるのかもしれない、と僕は強く思ったのである。
そう、僕たちは変わらなければいけないのだ。
だがしかし、一方で「変わりたくない」という考えの人が大勢いることも、また事実である。
対面で話した方が、誤解も生じないし、信頼関係も生まれるのだ、だから俺はリモートなんて信用できない、という意見ももっともなのだが、話の通じない人は、対面であろうとリモートであろうと、話の通じない人であることには変わりない、ということもまた事実である。
容易には結論の出ない問題だけれど、もう少しリモートの力を信じてみよう、リモートでできることはリモートでいいんじゃね?というのが、この二日間のリモート三昧での結論である。
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