俺のための小説
7月13日(月)
3日間の隔離生活。浮世のことはあまり考えないことにして、小説を読むことにした。
1冊目は、僕の高校時代の1年下の後輩である小説家が書いた「シリーズもの」の最新作である。
もうこのシリーズ、11冊も出ている。僕はそのほとんどすべてを読んでいる。
僕はその後輩とは直接の面識がないのだが、僕の親しい後輩の高校時代の親友にあたり、その親しい後輩からは何度となく、その小説家の話を聞いていた。
で、以前にその後輩から、その小説家がいま取り組んでいるシリーズものの話を聞き、おもしろそうだったので読んでみることにしたのである。
そしたらあーた、そのシリーズものが、僕の業界のドンピシャリな世界を描いているではないか。つまりは、かなりマニアックな内容である。
僕が関わったことのあるフィールドや、僕の知り合いが勤めている組織などが、バンバン登場するのである。
これ、書いているほうも生半可な知識では書けないし、読むほうも、生半可な知識ではなかなかついて行くのが難しいのではないか、というくらい、情報量の多い小説である。
では難しい内容なのかというと、まったくそんなことはない。内容自体は、ミステリー小説というべきものである。さすがプロというのは、そのあたりの構想力というか、読ませ方が上手だなと、毎回読むたびに感服する。
で、僕はすっかり、このシリーズのファンになってしまったのである。
さらに驚いたことに、このシリーズのうちのいくつかに、僕の大学院時代の恩師の本が参考文献にあがっているのだ。つまり小説を書く際に、参考にしたのである。それも小説の中でかなり重要な要素になっている。
うーむ。僕の恩師が取り組んでいたような、あんなにマイナーなテーマを主軸に物語が進んでいくなんて、
「これ、俺のための小説じゃね?」
と勘違いしてしまうほどだ。
先日、それとなく読んでいた本の中に友人の名前が出てきてビックリした、という話を書いたが、それと同じ気持ちである。
恩師にしても、自身の研究がそれと知らずに小説になっているというのは、うれしいのではないだろうか。僕だったらうれしい。
恩師にこの小説のことを紹介しよう、と、本気で思い始めている。
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