「ぼよよん行進曲」を国歌に!
8月17日(月)
文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」の中で、「ゴールデンヒストリー」という10分程度のコーナーがある。市井に生きる人々の、何気ない人生の軌跡を、大竹まことが朗読するというもの。番組の放送作家が毎回、無名の人に取材をして、それを原稿にまとめ、大竹まことが静かに朗読する。
今週のテーマは、「がんとともに生きる」。今日は、ステージ4の肺腺がんと診断された、2児の母の物語である。正確ではないが、僕なりに聴いた内容をまとめると、次のようになる。
ステージ4の肺腺がんと診断されたのは、44歳のとき。がんは肺全体に散らばり、外科手術はできない状態にあり、分子標的薬という抗がん剤を服用しながら治療することになる。
分子標的薬は副作用が強く、皮膚は炎症を起こし、下痢が止まらない。加えて、薬の値段は高額で、家計を圧迫する。
自分には小学生の子どもが二人いる。少しでも家計を助けるために、仕事をしたいのだが、副作用による体調の悪さから、気持ちに波ができてしまう。
転機となったのは、息子が持ち帰ってきた保健体育のテスト。「生活習慣病が引き起こす病気はどれか?」という問題の選択肢に「がん」があり、息子はそれに○をつけると、正解となっていた。
これを見て、まるで自分の生活習慣が悪かったからがんに罹ったと言われているような気がして悲しくなり、思い切って息子の学校に抗議の電話をかけた。
そのとき、対応してくれた学校の先生が、自分の気持ちに寄り添って話を聞いてくれた。
そのとき初めて、自分はステージ4の肺腺がんであると、他人に告白する。そして次第に、自分の周囲に、自分の病気のことを理解してくれる人が増えてきた。
自分はたしかにがん患者である。でも、ふつうに仕事がしたいし、一人前に扱ってもらいたい。そんな社会が来れば、どんなに救われることだろう。
いま、その方は、仕事に復帰し、同じ立場で苦しんでいる人をケアする仕事をしている。
…大竹まことの静かな朗読が終わると、曲が流れた。
「ぼよよん行進曲」だ!
昼間の民放ラジオ番組で、この歌が流れてきたのは、不意打ちである。
もうね、こんなもん、どうやったって泣いてまうやろ!
「ぼよよん行進曲」の選曲は、おそらくこのインタビューに応じた方のリクエストによるものなのだろう。今日の前向きな物語に、これ以上マッチした選曲はない。
聴いていて、ふと気づいた。
「ぼよよん行進曲」には、さまざまバージョンがある。歴代の歌のおにいさん、おねえさんが歌ったものから、それこそ、作詞作曲した中西圭三さんがソロで歌っているものもある。この日、流れていたのは、だいすけおにいさん&たくみおねえさんバージョンだった。
小学生の息子がいる、ということは、この方が子どもと一緒にリアルタイムで見ていた「おかあさんといっしょ」は、だいすけおにいさん&たくみおねえさんのときだったのだ。だから、どうしてもこの二人が歌っているバージョンでなければいけなかったのだ、と。
「ぼよよん行進曲」で励まされていたのは、子どもではなく、母親のほうだった。否、この歌に世代など関係ないのだ。
だから僕は提唱したい。
「ぼよよん行進曲」を国歌に、と。
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コメント
ううう、読みながら泣きました…大竹まこと、よい仕事してますね。「ぼよよん行進曲」私もけっこうな頻度で脳内リピートしています。国歌斉唱で、皆「ぼよよよ〜ん」とすれば良いと思います。
投稿: もりもり | 2020年8月19日 (水) 00時36分
「パプリカ」と「ぼよよん行進曲」と、どちらを国歌にしようか迷いましたが、わかりやすさという点で、「ぼよよん行進曲」に軍配が上がりました。
投稿: onigawaragonzou | 2020年8月20日 (木) 23時10分