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これは予言なのか

ちょっと前の話になるが、録りだめておいた是枝裕和監督の映画を何本かまとめて観た。

「そして父になる」(2013年)

「誰も知らない」(2004年)

「海よりもまだ深く」(2016年)

の3本。いずれも劇場では観ていない。

僕は、是枝監督の作品にそれほど思い入れがあるわけではない、のだが、こうしてみると、意外にけっこうな数の是枝作品を観ているなあ。

個人的には、「万引き家族」よりも「誰も知らない」の方が、強く印象に残る映画だと思ったのだが、どうだろう。

…いや、今回書きたいのは、そういうことではない。

ほとんど誰も注目していないことだと思うが、「海よりもまだ深く」で、樹木希林と小林聡美が、親子の役で共演していることが、僕にとっては大事件である。

この映画が、阿部寛を主演としていながら、ほとんど樹木希林の存在感が圧倒的な映画であることは、誰しも認めることであろう。さらに僕からしたら、よくぞ娘役に小林聡美をキャスティングしてくれた!と、拍手喝采せずにはいられない。

大林宣彦監督の映画「さびしんぼう」で、尾美としのり扮するヒロキの母(藤田弓子)の友人役で、樹木希林が出演している。そしてその娘役が、いわゆる「尾道三部作」の第一作「転校生」での主人公を演じた小林聡美なのである。「転校生」でも樹木希林と小林聡美は共演しているが、ここでは「直接の」親子関係にはない。ただ、この二人のキャスティングは、明らかに、「転校生」ファンに向けてのサービスであった。藤田弓子と尾美としのりの親子、樹木希林と小林聡美の親子が、一堂に会する場面は、映画の中でもとりわけ祝祭的な場面である。

で、大昔、「さびしんぼう」に関する誰かの短い映画評を読んだことがある。誰の映画評なのか、どこに載っていたのか、まったく覚えていないのだが、ちょっと辛辣な評価だった印象がある。載っていた雑誌は『広告批評』だったかな?

なんて書いてあったかというと、富田靖子と藤田弓子、小林聡美と樹木希林は一卵性双生児のようなもので、女優としての富田靖子の未来は藤田弓子であり、女優としての小林聡美の未来は樹木希林である、みたいな評。なんだかよくわからないが、それを読んだ当時、なんとなく、富田靖子と小林聡美を揶揄しているような書きぶりだった。つまり、将来は、藤田弓子「程度」の女優、樹木希林「程度」の女優になるのだろう、といったニュアンスである。ま、細部は覚えていないので、僕の思い込みにすぎないかもしれない。

…こういう冷笑系の映画評は、やっぱり『広告批評』だったんじゃないだろうか。まあそれはともかく。

だが小林聡美に関していえば、将来は樹木希林「程度」の女優になる、というのは、いまとなっては最高の褒め言葉なのではないだろうか。樹木希林は、晩年、何者にも代えがたい存在として評価されていった。映画「さびしんぼう」から30年経って、樹木希林と小林聡美が再び親子役で共演することに、僕はある感慨を禁じ得ないのである。

このキャスティングは「さびしんぼう」を意識したものなのか?いや、それは考えすぎだろう。であればなおさら、この二人を親子とするというキャスティングに自然にいきついたことは、まさに慧眼というべきである。樹木希林の娘役は、小林聡美でなければならないのだ。そして、いずれ樹木希林のような存在になっていくはずである。

あの映画評を書いたのは誰だったのだろう?

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