シューベルトの子守歌
8月4日(火)
この2日ほど、例の海外のプロジェクトの申請書に忙殺された。「七人の侍」よろしく、交渉の末、メンバーを7人集め、申請書をなんとか書き上げ、ようやく自分の手を離れた。
三谷幸喜の映画『ラヂオの時間』で、素人の書いたラジオドラマの台本を、たった10分間でまるっきり書き換えるという、敏腕放送作家の「バッキーさん」という人物が登場するが、依頼されてから4日で申請書を仕上げた僕のいまの気分は、さしずめバッキーさんである。
そんなことはともかく。
帰ってからは、また寝付きの悪い娘を寝かしつけなければならない。
パターンは昨日と同じ。
朝から働きづめの妻が寝落ちしてしまうと、2歳4か月の娘は、別の部屋で電気を消して息を潜めている僕のところにやって来て、
「だっこして」
という。
また始まった。今日は何回続くのだろう。
抱っこしては布団に寝かせる、という動作を2回繰り返したが、やはり娘は眠れないようである。
こういうとき、実は秘策がある。
それは、「子守歌を歌う!」ということである!
あのねえ。子守歌といっても、バカにしてはいけませんよ。子守歌は人類が長年かけて作り出した「智慧」なのだ。
子守歌を歌ってごらん。ウソのように子どもが寝てしまうから。
僕が選んだ子守歌は、「シューベルトの子守歌」!
「ね~むれ~ ね~むれ~ は~は~の~む~ね~に
ね~むれ~ ね~むれ~ は~は~の~て~に」
この8小節を繰り返し繰り返し抱っこしている娘の耳元で歌う。
歌詞なんかつけずに、鼻歌だけでいい。
するとあら不思議、娘はストンと眠りに落ちてしまうのである。まるで眠り薬が効いたみたいに。
娘がまだ生後数か月の頃に、抱っこしながら寝かしつけるときに、ためしにこの歌を歌っていたら、たちどころに寝てしまったので、その成功体験が、いまも僕にこの歌を歌わしめているのである。
なぜシューベルトの子守歌にしたかというと、この国には、
「ね~んね~ん ころ~り~よ おこ~ろ~り~よ~」
という有名な子守歌があるのだが、これはメロディーに起伏がありすぎて、繰り返し歌おうとすると、歌ってる方が疲れちゃう。
それにくらべると、シューベルトの子守歌は、メロディーがどちらかといえば単純なので、エンドレスで歌っても苦にならないのだ。
ま、子守歌を歌うと子どもは必ずすぐ寝る、ということでもないのだが、かなりの確率で、早く眠りに落ちることは断言できる。
子守歌こそ、人類の叡智である。
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コメント
今宵はこの曲でいかが?
浪曲子守唄
https://youtu.be/kJDjweDxgp4
投稿: こぶぎの叡智 | 2020年8月 6日 (木) 19時34分
即、○outubeで「シューベルトの子守歌」を検索したら、驚異の120分バージョンがありました。確かにこれは人類の叡智ですね…即眠くなりました(私は)。
鼻歌で周りの人が振り返るくらいの音痴なので、子どもには同じ轍を踏んで欲しくないがゆえの○outube頼みです。
投稿: もりもり | 2020年8月 6日 (木) 23時38分
子どもが生まれると、自称「歌嫌い」な人も子どものために歌を歌うようになりますからご安心を。
一節太郎も「子守歌など苦手な俺だが 馬鹿な男の浪花節 一つ聞かそか ねんころり」(『浪曲子守歌』)と歌っているではありませんか。
投稿: onigawaragonzou | 2020年8月 7日 (金) 00時47分