トラック野郎との再会
9月10日(木)
なんと、今年度になって初めて、新幹線に乗っての日帰り出張である。
そういえば4月からのコロナ禍以降、新幹線に乗っていない。あやうく乗り方を忘れるところだった。
今回の出張は、10月からうちの職場で始まるイベントのための準備作業である。
朝6時に家を出て、新幹線と地下鉄を乗り継いで、最寄りの駅に着いたのが9時半。
今日、一緒に作業をする「トラック野郎」のOさんが改札の外で待っていた。
「ご無沙汰しています」
「よろしくお願いします」
Oさんとは、一昨年に職場の中で一緒に仕事をしたが、トラックに同乗しての仕事は6年ぶりである。
午前中に1件、午後に1件まわることになっているのだが、先方にうかがう時間が決まっているので、時間を調整するために、トラックの中で時間をつぶすことになる。
そのときのOさんのお話が、僕にとってはなかなかの楽しみで、仕事上でのこれまでの武勇伝や、これまでの仕事の経験で培われた豊かな教養、といったものを聴くことができる。といって決して自慢げにお話しするわけでもなく、なかなかの思索的なトラック野郎なのである。
午前中の用務をひとまず無事に済ませた。
「うちらはトラックの中で昼飯を済ませますんで、どうぞ食事に行ってきてください」
Oさんとその相棒の若いIさんは、トラックの中で食事を済ませるらしい。僕はトラックを出て、近くのおそば屋さんで昼食をとった。
しばらくしてトラックに戻ると、Oさんは文庫本を読んでいた。やはり思索的なトラック野郎である。
午後の約束の時間までまだ少しあったので、トラックの中で再びOさんのお話を聴いた。
「さ、そろそろ行きましょうか」
午後の用務先は、思った以上に大変だった。ま、気軽な気持ちで考えていた僕のほうが悪いのだが。
(うーむ。どうも追い詰められていくなあ…)
しかし、今日は先方の指示に全面的に従わなければならないので、とにかく先方に失礼のないように、こちらも辛抱強く対応する。
その間、トラック野郎の2人はじっと近くに控えていて、僕の作業のペースに合わせて、自分たちの作業を進めていく。
30分くらいで終わると思っていた作業は、2時間以上かかってようやく終了した。
僕は先方に丁寧にお礼を言って、トラックに乗り込んだ。その途端、どっと疲れが出た。
「いやあ。面食らいましたなあ」
とOさん。
「Oさんもそう思われましたか?」百戦錬磨のOさんにとっても、あまりない経験らしい。
「ま、ともかく無事に終わってよかったです」
トラック野郎の2人が味方になってくれていると確信していたので、僕は心が折れずにすんだのであった。
それにしても、体力が低下しているせいか、久しぶりの出張は思いのほか身体にこたえる。
帰宅して、泥のように眠った。
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