徴芸制
こんな小説を考えてみた。
この国は、次第に経済が苦しくなり、若者の働き口もなくなり、貧しい若者が増えてくる。
そこで政府は、ある政策を考える。
それは、働き口のない若者を、お笑い芸人にするという計画である。
政府が直接、お笑い芸人を育てるのではない。老舗の大手お笑い芸人のプロダクションに、その業務を委託するのである。
政府とそのお笑い芸人のプロダクションは、癒着し、政府からの莫大な補助金がそのプロダクションに流れる。
お笑い芸人のプロダクションは、食うに困っている若者を片っ端からスカウトし、お笑い芸人に育て上げる。
そのお笑い芸人たちを、テレビに頻繁に露出させ、「おもしろい」という雰囲気を演出する。彼らは人気を博するようになる。
これが最終目的ではない。真の目的は、この後である。
お笑い芸人たちを、ありとあらゆるジャンルの番組に出演させる。あるときは、老舗の子ども番組や教育番組、あるときは、ワイドショーのコメンテーター、さらにはドラマや映画にも、「芸人枠」が必ずもうけられるようになる。果ては、映画監督になったり、ミュージカル俳優になったりと、とにかくその事務所の芸人たちがあらゆるジャンルのメディアに露出するのである。
で最終的には、政府が国民を管理統制するために、お笑い芸人を使った洗脳政策が始まる。
政治家は、お笑い芸人を意のままに使い、お笑い芸人もまた、政府のキャンペーンの片棒を担いでCMに出まくり、ベテランのお笑い芸人は政府寄りの発言を公然とするようになる。
国民は、お笑い芸人を見ているつもりが、知らず知らずのうちに、政府の思惑から逃れられなくなってしまうのである。
この話、笑えるのか笑えないのか、よくわからない。たぶん、あまりおもしろい小説にはならないだろう。
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