« 音声配信始めました | トップページ | A4用紙1枚の憂鬱 »

バイデン=鈴木貫太郎=笠智衆説

11月11日(水)

昨日のTBSラジオ「たまむすび」のコーナー、町山智浩さんの「アメリカ流れ者」を聴いていて、僕が以前から漠然と抱いていた仮説が、確信に変わった。

それは、「バイデン=鈴木貫太郎=笠智衆」説である。

アメリカ大統領選挙は、どうやら民主党のバイデン氏に軍配が上がったようである。現職のトランプ大統領が、訴訟も辞さないという姿勢を見せているが、結果が覆る可能性は、きわめて低いのではないだろうか。

しかしバイデン候補は、77歳という高齢である。しかも演説が上手ではなく、これといった主張があるわけでもない。いってみれば、凡庸な政治家だ、というのが、世間的な評判である。バイデン候補に対する票は、熱狂的なバイデン支持者によるものではなく、反トランプの受け皿として投じられた、というのが、もっぱらの見方である。

アメリカの大統領選挙の取材を続けていた町山さんは、どうしてバイデンのような、さしたる人気のない、しかも高齢の人物が、民主党の大統領候補として選ばれたのか、そのことが不思議でならなかったそうである。ラジオの中で、こんな風に語っている。

「僕はね、バイデンさんを民主党が選んだ時、「なんて弱い候補なんだろう」って思っていたんですよ。演説も本当に下手だし、熱狂がまるでないし。それでトランプ大統領が彼のことを「最弱の大統領候補」って言っているんですけども。「あんな最弱の候補に俺が負けたら、恥ずかしいからアメリカを出ていってやる」とまで言ったんですけど。ただ、それがよかったのかなっていう気がするんですよ。トランプ大統領はバイデンさんをなんとかしてものすごく悪いやつに仕立て上げようとしていて。「過激な左翼だ」とか言っていたんですけど。バイデンさんはその挑発に乗らなくて。ずっとただの普通のおじいさんみたいな感じでやってたんですよね。だからそれがすごくよかったのかなと思ったんですね。」

「(これからの)バイデンさんの仕事は大変なんですが。まあ彼自身が「大統領は4年でやめる」って言っているんですよ。つまり、「トランプでバラバラになってしまったアメリカを元に戻す」ということだけが彼の仕事なので。みんなが「アメリカ人」に戻る時なので。それが終わったら彼の役目は終わりなんですよ。そこから先は新しいアメリカに進むんですよ。」

トランプ大統領によってむちゃくちゃに分断されたアメリカを、もう一度もとのアメリカに戻すためだけに大統領になり、1期4年の間になんとかその道筋をつけて、そのあとは潔く大統領を辞めると宣言しているバイデンが、アジア・太平洋戦争を終わらせるために首相に就任して、なんとか終戦にこぎつけて総辞職した老獪な鈴木貫太郎首相と、ダブって見えるのは、僕だけだろうか。

ちなみに鈴木貫太郎首相は僕の中では、岡本喜八監督の映画『日本のいちばん長い日』で同首相を演じた笠智衆のイメージである。

見た目はいわゆるふつうのおじいさんで、地味であることこの上ないが、陸軍や海軍からの突き上げや挑発をのらりくらりとかわしながら難局を乗り切った。一部の過激派からは攻撃の対象となるほど憎まれたが、それでもなんとかやり遂げたのである。

映画の中で、笠智衆演じる鈴木貫太郎首相は、

「これからの日本は、若い人にまかせるのがいいんでね」

といって、8月15日正午の玉音放送が流れたあと、内閣総辞職を決めるのである。

これが、バイデン次期大統領の未来なのではないだろうか。

|

« 音声配信始めました | トップページ | A4用紙1枚の憂鬱 »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 音声配信始めました | トップページ | A4用紙1枚の憂鬱 »