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国際会議・3回目

12月20日(日)

この土日は、今年度3回目のオンライン国際会議である。

オンライン開催があたりまえになってきたからか、コロナ以前よりも、国際会議に参加する回数が例年よりも多い。

3回のうち2回は、職務上、参加して発表しなければならない国際会議だったのだが、今回は、日頃お世話になっている方から頼まれてしまったので、これもまた断ることができない。

今回は発表者ではなく、討論者として参加する。

討論者というのは、発表者の発表に対して、コメントや疑問点を提示する役割である。とくに、発表の疑問点を提示して、発表者に投げかける、というのが、いちばん重要な役割である。

発表者にくらべて討論者に与えられた時間は短く、事前の原稿もそれほど多くないのだが、発表者の原稿を読み、そこから問題点を抽出し、意味のある議論をしなければならないという点で、かえって手間がかかるし、こっちの能力も試されるので、苦労するわりには報われない役割である。

しかも今回の会議のテーマは、僕がまったく門外漢のテーマで、ほかはみんな、この分野の一線で活躍している方たちばかりである。というか、このテーマ、嫌いなんだけどな…。

おまけに、僕が討論を担当する発表者は、韓国でお世話になった有能な友人である。彼の原稿は当然ハングルで書かれているので、あらかじめ送られてくるハングルの原稿を読み込んで、それをふまえて、門外漢の僕がコメントを書かなければならない。もう地獄である。

そこでハタと気がついた。そうか、僕はただたんにハングルが読めるという理由で選ばれたのか、と。たまたまこの国際会議を企画した方が、頼みやすい僕に頼んだということなのだろう。適材適所とは、ほど遠い人選である。

土曜日は午前10時から午後6時半まで、日曜日は午前9時から午後7時まで、という長期戦である。僕が登壇するのは2日目、日曜日の午後3時半頃からなのだが、実質、土日の2日間がこのためにまるまる潰れてしまうことになる。

初日は僕のやることはなかったが、それでも参加しないわけもいかず、適宜休みながら聴いていたとはいえ、結局丸一日、パソコンの周りで過ごしたのだった。

しかも、日本と中国と韓国の3カ国の会議なので、日本人が発表の場合は、日→中、日→韓の通訳(しかも逐語訳)が必要だし、韓国人が発表の場合は韓→中、韓→日、中国人が発表の場合は、中→日、中→韓の通訳が必要なので、発表時間はふだんの3倍かかる。通訳は、日韓間で1人、中韓間で1人、日中間で1人なので、このうちどの人が欠けても、会議はストップしてしまうのだ。

そして2日目。僕が担当する韓国の発表者が朝イチで発表し、それに対する僕のコメントが午後3時半頃からなので、まったく気が抜けない時間が続いた。

予定の時間から30分ほど過ぎて、4時頃に僕の番が来た。

ところが、僕の発言を韓国語に通訳してくれる人が、突然、画面からいなくなってしまった。

慌てたのは、会議の主催者である。日本語から韓国語に通訳できる人は、その人しかいないからである。いくら呼びかけても応答しない。トイレにでも行ったのだろうか?

「鬼瓦先生、すみません。時間がもったいないので、喋った内容を自分で韓国語に通訳してください」

ええええぇぇぇぇっ!!

アドリブに弱いんだよ!俺は!

「わ、わかりました」

自分で喋った内容を、自分で韓国語に通訳したのだが、久しぶりに韓国語を喋ったので、伝わっているのかどうかわからない。

必死で喋っていたら、いつのまにか通訳の方が画面に復帰していた。

「もう大丈夫ですよ」

というわけで、本題に入る前の前置きを喋ったあたりで、通訳を交替できたのだった。

そこでまた、僕は気づいた。

そうか、こういう不測の事態が起こったときに、自分で韓国語の通訳できるヤツがいいということで、選ばれたのだと。

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