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とんだ仕事納め

この3日間は、けっこうたいへんだった。

12月23日(水)

久しぶりの、飛行機を使った出張である。今年初めてじゃないだろうか。

コロナがたいへんなので、できれば出張は避けたいところなのだが、先方がどうしてもということで、日程調整したところ、年内ではこの日しか空いていなかった。ふだんならば新幹線を使って行っているのだが、飛行機の方が感染リスクが少ないということだったので、飛行機で往復する日帰り出張と相成ったのである。

久しぶりだから、飛行機の乗り方も忘れてしまった。いまはクレジットカードを自動チェックイン機に入れればチケットを発行してくれるというわけにはいかないんだね。

新幹線で5時間くらいかかるところを、飛行機ならば1時間ほど乗っていれば到着した。新幹線よりもずいぶんと楽である。こんなことならば、今度からは飛行機を使うことにしよう。

仕事相手はむかしからよく知る方だったが、見かけによらず感染防止に気を遣ってくれるタイプの方だったので、安心した。滞在時間は5時間ほどだったが、仕事も順調に進み、短かかったが充実した時間を過ごした。

12月24日(木)

ある雑誌での対談のため、都内の出版社に向かう。

対談の前に、プロのカメラマンが来て、掲載用の写真を撮ってくれるという。出版社の雑然とした部屋の中だと映えないので、外に出て撮りましょうということになり、人通りの多い幹線道路のバス停だとか、小さな公園だとかで、バッシャバッシャ写真を撮った。

そういえば、むかしいちど、同じような体験をしたことがあるのだが、町なかで、プロのカメラマンにすげえ長い望遠レンズとかレフ板を使って写真を撮られるのは、かなり恥ずかしい。道行く人が誰だろうと思って顔を覗くと、(誰だ?こいつ)みたいな顔で通り過ぎていくのだ。

「念のため、出版社の中でも撮りましょう」

外から戻って、雑然とした事務所の片隅で撮影したら、

「これがいちばんいいかもしれませんね」

とカメラマンがつぶやいた。寒い外でのさっきまでの撮影は何だったのだ?

どの写真が採用されるか、半年後のお楽しみである。

さて、対談は3時間くらいに及び、楽しい時間だったのだが、どちらかというと僕が聞き手の役回りであったため、事前にTBSラジオのいろいろなパーソナリティーのゲスト対談のコーナーを聴きまくり、イメージトレーニングをしたにもかかわらず、自分の「聞く力」の拙さにすっかりと落ち込んでしまった。

世に「座談の名手」という言葉があるが、自分にはとても無理だということを実感した。そしてあらためて、何気なくゲストと対談しているラジオパーソナリティーたちの資質の高さに、感嘆したのである。やはり世に出るラジオパーソナリティーというのはそうなる理由があるのだな。

12月25日(金)

実質上の仕事納めである。午後から仕事だったので、比較的ゆったりと出勤したら、着くなり事務職員さんが待ち構えていて、至急に対応しなければならない案件がありますという。ま、最近はそんなことばかりなのだが。

仕事部屋に荷物を置いて、ひと息つく暇もなく、その案件を抱えて社長や副社長に相談に行き、なんとか対応についての結論が出た。

その後引き続き、社長室で打ち合わせをし、ようやく仕事部屋に戻ったのだが、今年中にどうしても片づけなければならない仕事があり、それを一つ一つ片づけていくうちに、あっという間に夜になってしまった。

いつもは僕より遅くまで残っている職員さんが、僕の仕事部屋をノックして、

「私たち、これで失礼します。今年はいろいろとありがとうございました」

「こちらこそ、ありがとうございました。よいお年をお迎えください」

「先生もよいお年を」

と帰って行った。

僕もそれから少しして仕事を切り上げ、車で2時間以上かけて帰宅することにした。車内では、もちろんラジオが友である。

自宅のマンションに着いたのが午後10時過ぎ。ちょうどTBSラジオ「武田砂鉄 アシタノカレッジ」が始まった時間である。

車をマンションの立体駐車場に入れようと、立体駐車場のシャッターを開けようとして鍵を差し込み、タッチパネルを操作すると、けたたましい警報音が鳴り響いた。

ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ…。

なんだなんだ?何が起こったのか?

タッチパネルを見ると、

「AC200V電源停電」

という、見たこともない表示があらわれた。

こうなるともう、なすすべがない。僕は暗い中を、どこかに連絡先が書いていないかと探し、ようやく立体駐車場の管理会社の電話番号を見つけた。

電話をすると、

「近くの者がこれから対応にうかがいますので、待っていてください」

という。仕方がないので、車の中で待つことにした。

車から流れるラジオでは、武田砂鉄さんと辛酸なめ子さんが対談をしているのだが、立体駐車場のことが気になって、まったく内容が入ってこない。

そのうち、今度は、マンションの警備を担当しているSECOMの人がやってきた。

「どうかしましたか?警報器が鳴ったので駆けつけたのですが」

なるほど、警報器が鳴ると、SECOMが飛んでくるしくみになっているのだな、それにしても迅速な対応だなあと感心しつつ、

「実は、立体駐車場がかくかくしかじかで…すでに立体駐車場の管理会社にも連絡をしています」

と説明した。

「そうですか。ブレーカーが落ちたんですかね?…でも素人が下手にいじらない方がよさそうですね。それでは、その人が来るまで待ちましょう。いつごろ来ると言ってましたか?」

「さあ、いまから向かいますと言ったきりで」

「そうですか…」

僕は急に不安になった。立体駐車場の管理会社の人がどのくらいの時間できてくれるのかが、まったくわからない。ことによると深夜になるのだろうか?そうなったら一晩、車の中で過ごすしかないなあ、と覚悟した。まったく、とんだクリスマスである。

するとそれから10分くらいして、立体駐車場の管理会社の人が到着した。

僕が事情を説明すると、その人は立体駐車場の電気システムみたいなところを操作したり、タッチパネルのところをピピピと操作したりした。いろいろと試みているうちに、シャッターが開きだした。

「ひとまず、開けることはできましたが、根本的な原因がわからないので、また止まってしまう可能性があります」

「はあ」

「今のうちに車を入れてください」

「わかりました」

僕は所定の位置に車を入れて、ようやく解放されたのである。

「どうそご自宅にお帰りください。あとは私たちでやりますので」

立体駐車場の管理会社の人とSECOMの人は、そのあとも残って、立体駐車場の故障の根本的な原因の追求を続けたようだった。まったく、彼らにとってもとんだクリスマスである。

ようやく自宅に帰れたのが夜11時近く。家族はすでに寝ていた。

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