紅白歌合戦雑感
1月2日(土)
新年の雑感をいくつか。
年末の紅白歌合戦、いつもよりもおもしろかったと感じた。全部を見たわけではないが、今年は新型コロナウィルスの影響で無観客とするなど、演出の大幅な見直しがあり、歌と歌の間に、紅組と白組のどちらが勝つかなどといった小賢しい演出があまりなく、歌を聴かせることに徹したように思えて、もう、男女に分かれてたたかうみたいなことはやめて、選曲にこだわって、スタジオで歌をじっくり聴かせるだけで十分なのではないか、と思えてきた。
元旦夜のTBSラジオ「新時代のコトバ会議」(武田砂鉄、ジェーン・スー、サンキュウタツオ、飯間浩明)のなかで、ジェーン・スーさんが言っていた次の言葉が、溜飲を下げた。
「男女が分かれてたたかっていることで紅白歌合戦がおもしろくなったという記憶がいままでない」
「男女に分けることでエンターテインメントとしてのおもしろさが増す、という経験をしたことがない」
「放送当日に箱の中からクジを引いて、3つくらいくらいのグループに分かれて、さあ分かれました、これで今年はたたかいます、という楽しみ方もあるのではないか」
なるほどその通りである。
毎年のテーマも、漠然としたものよりも、もっとシンプルでピンポイントにした方ががいいのではないか、と思う。今年は、朝ドラの「エール」にひっかけて、人々を元気づけるような歌の選曲が多かったような気がするが、それもまた、どちらかといえば今年よかったことの一因ではないかと思う。
その意味で僕がすごいと思ったのは、「おかあさんといっしょ」のスタジオライブである。
今年度は新型コロナウィルスの影響で、例年各地に出向いて行っているファミリーコンサートができない。その代わりに、スタジオライブというのをいままで3回行っており、毎回、テーマを決め、そのテーマに沿った歌を歌うという内容である。第1回目は「星」で、星にまつわる歌を歌っているのだが、谷川俊太郎作詞・細野晴臣作曲・高田漣編曲の「いるよ」を含め、選曲がすばらしかった。第2回目は「空」。「雲の手紙」とか「あしたははれる」(坂田修作詞・作曲)など、これまた選曲がすばらしかった。
そして年末に第3回目のスタジオライブがあったのだが、録画したのをつい先ほど見返してみて、ビックリした。3回目のテーマは「風」で、風に関する歌を選曲しているのだが、なんと、ゆういちろうおにいさんが、はっぴいえんどの「風をあつめて」を歌っていたのである!松本隆作詞、細野晴臣作曲の名曲「風をあつめて」ですよ!
ちょっとこれには身震いした。まさか「おかあさんといっしょ」で「風をあつめて」が聴けるとは!
SNSでの反響を見てみるともちろん大絶賛で、「選曲したのはゆういちろうおにいさん自身ではないか」という推測が目立っていたが、僕もそうだと思う。
松本隆のあの天才的な歌詞が、小さい子どもにわかるのだろうか?と、一瞬思ったが、ゆういちろうおにいさんが歌うと、そんな心配など杞憂に終わるくらい、番組にじつによく溶け込んだ歌になっているではないか!「おかあさんといっしょ」、攻めてるねえ。
考えてみればうちの娘(2歳9か月)が最近よく口ずさんでいる
「思い出はモノクローム 色をつけてくれ♪」
という歌詞のある「君は天然色」は、同じはっぴいえんどのメンバーだった大滝詠一の曲。やはりはっぴいえんどは偉大である。
つまり僕が言いたいのは、クオリティーの高い歌番組を作るヒントは、「おかあさんといっしょ」の中にある、ということである。
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コメント
ゆういちろうお兄さんの「風をあつめて」
私も「おおお!」と思っていました。
家族に「ちょっと凄いよ!」と知らせましたが
あまり良い反応が得られなかったので
ここで鬼瓦先生が触れておられて
気持ちがおさまりました。
PPMのパフも嬉しかったなぁ…
ゆういちろうお兄さん…
好きです(笑)
投稿: もりもり | 2021年1月 5日 (火) 16時53分
ゆういちろおにいさんは、番組では気弱なキャラクターに見えて、実は芯の強い人ではないかと思うのです(イタいファンの完全な妄想ですが(笑))。
あつこおねえさんがピアノ伴奏した「パフ」は、永久保存版です!(編曲が林アキラおにいさんだし)。
投稿: onigawaragonzou | 2021年1月 5日 (火) 23時57分