ドキドキ人間ドック
2月5日(金)
TBSラジオリスナーは、澤田大樹記者の話題で持ちきりである。昨日今日あたりは、「澤田大樹記者祭り」といってもよい。
僕は驚いたのだが、TBSラジオの専任の記者というのは、澤田大樹さんと崎山敏也さんの二人だけなのだそうだ。すごくないっすか?(って、誰に向かっていってるんだ?)この二人は、TBSラジオの宝である!
武田砂鉄氏が、以前に澤田大樹記者を「文化系ファイター」と評していたが、昨日の会見での質問はそれを見事に体現したものだった。
そのことについて書きたいのだが、忙しくて書く暇がない。
今日は人生で2度目の人間ドックだったので、その話を書く。
前回の人間ドックの病院が、なかなかよかったので、今回もそこを希望していたのだが、空きがないとのことで、第2希望の病院で受けることになった。前回の病院とくらべると、かなりこぢんまりした病院である。朝9時にその病院の前についたときは、若干の不安を感じた。
そもそも事前に送られてきた書類やキットにも不安が。
事前に採便を2回行うというのはいつものとおりなのだが、そのほかに、ギョウ虫検査みたいなキットと、喀痰検査のキットが送られてきて、これらは初めてである。
とくに喀痰検査というのが面倒くさい。何らかの液体の薬品が入ったビニールの中に、朝、起き抜けに痰を採取するのである。それも3日間分である。
撲は痰を吐くという習慣がないので、どうやって出したらよいのかわからない。とりあえず説明書がついているので、その通りにやってみたのだが、洗面台で、
「オエーッ!」
と嘔吐(えず)きながら、なんとか痰らしきものをその薬品の入ったビニールに吐き出す。
それを大事に保管して、また翌日、
「オエーッ!」
と、朝一番に同じことをするのである。
ま、誰でもやっていることなのだろうが、僕にとってはこれが憂鬱で仕方がない。
そんなこんなで、なんとか事前の採便2回、採痰2回(本当は3回やらなければならないのだが…)を終え、当日を迎えたのである。
前回の病院は、人間ドック専用の建物があったのだが、今回の病院は、2階のワンフロアーしかないので、外来の患者さんと同じところで、人間ドックを受けなければならない。かなり混雑していた。
それでも、一つ一つ決められた検査をして、次の検査を待っていると、
「鬼瓦さ~ん、次は採尿で~す」
と看護師さんが言った。「しまった!」と思った。採尿があることを忘れていたのである!
前回の病院は、あらかじめ自宅で「その日の一番尿」を採取して持って行けばよかったのだが、この病院では、その場で採尿しなければならないのだ。そのことをすっかり忘れていた!すでに自宅を出る直前に、済ませてきてしまったのだ!
しかも、である。
「当日は朝から何も飲まず食わずで来てください」と言われているので、水分をまったく取っていないのだ。
(こまったなあ)
紙コップを渡されたのだが、尿意がうんともすんとも言わない。
とりあえずトイレに入ってみるのだが、まったく尿意がわかないのだ。
(このままトイレに籠城していたら、倒れてるんじゃないかと心配して看護師さんが駆けつけるんじゃないだろうか?)
というくらい長い時間、トイレにこもっていたのだが、もはやあきらめて、
「すみません。家を出る直前に済ませてきてしまったので…」
と、紙コップを看護師さんに返した。
健康診断とか人間ドックとかで、一番恐れているのは、いつもこれなのである。つまり、その場で採尿してくださいと言われ、ちゃんとそれに応えられるか、という不安に、いつもつきまとわれているのである。
「じゃあ先に、別の検査をしましょう」と、看護師さんは半笑いで紙コップを受け取った。
次の検査を待っている間、気になって周囲を見ていると、紙コップは手にしたが、なかなか尿意がもよおさないという人が、一定の割合でいると言うことがわかってきた。
僕の隣に座っていて、外来診療でやって来たおばあさんは、お茶をがぶがぶ飲み、立ったり座ったり、横っ腹をトントン叩いたりしながら尿意を催すのを待っているのだが、いっこうにその気配がないようだった。たまりかねたそのおばあさんは、
「おかしいわねえ。いつもならミルクのみ人形みたいに、お茶を飲んだらすぐ出るんだけど、今日はまったく出る気配がない」
と、看護師さんに訴えていた。看護師さんは笑いながら、
「慌てなくていいですよ。別の日にしてもいいですから」
というのだが、そのおばあさんは、
「もう少しがんばってみます」
と言って、今度は瞑想するように、尿意を引き出そうとしていた。
そのあと僕は、次の検査があったので、そのおばあさんが無事に採尿できたのかどうか、最後まで確認することはできなかった。
さて、その「次の検査」というのは、内視鏡検査である。いわゆる胃カメラだ。
前回の病院では、全身麻酔みたいなことをやってもらって、意識がない間に内視鏡を口から入れてもらったので、ほとんど何も苦しまずに終わったのだが、今回は違った。
ゼリー状の麻酔を喉の奥のところに定着させるだけの簡易なやり方で(どうもこのやり方がふつうらしいのだが)、内視鏡の管を喉に通すときの痛みだけは抑えられるのだが、管が実際に、食道から胃へ、さらに十二指腸に入っていく感覚は、気持ち悪いくらいにわかる。
「オエーッ」
と嘔吐(えずき)きそうになるのをこらえ、なんとか終了した。
昨年の時とは大違いで、「もう2度と胃カメラなんか飲むものか!」と誓ったのであった。
一通り検査が終わると最後に看護師さんが、
「採尿ですよ~」
とニコニコしながら紙コップを持ってきた。
「大丈夫ですか~?」
「がんばってみます」
トイレに入り、なんとか精神を集中して、時間はかかったが採尿に成功した。
「終わりました」
「よかったですね」
検査着から私服に着替えて、病院を出たころには、喉の麻酔もすっかり切れていた。
人間ドック(健康診断)の際に現場で採尿する場合には、自宅を出る直前に済ませてはいけない、という教訓を噛みしめながら、僕は「富士そば」のかけそばをすすった。
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コメント
医者:喀痰検査で「オェー」と吐いても出て来るのは胃液なので、むしろ咳き込んだ方がよいのではないですか?
患者:さあ。あなたはどう思いますか。
医者:私は適切じゃないと思うんですが。
患者:それじゃ、そういうふうに承っておきます。
#わきまえないこぶぎ医者
投稿: 🐢 | 2021年2月 6日 (土) 11時33分