辞令交付式
3月31日(水)
恥ずかしいことに、僕はいままで全然知らなかったのだが、3月31日にも辞令交付式が行われるという。中間管理職として立ち会わなければならない立場になって、初めて知った。
辞令交付式といえば、4月1日とばかり思っていて、もちろん4月1日も行われるのだが、3月31日は退職したり転出したりする人に対する辞令交付式が行われるという。
僕はこれまで2度ほど、職場を変わっているが、転出したときに辞令交付式があったという記憶がない。うちだけが特別に、辞令交付式を厳粛に行う職場なのだろうか。よくわからない。
一通りの儀式が終わり、今度は別の部屋に移り、僕がいつも一緒に仕事をしている課で退職される方への花束贈呈式が行われる。
例年ならば、送別会が行われるのだが、今年度はコロナ禍のために、送別会は中止になった。その代わりに、課の有志が企画して、退職する方々へ花束と、少しばかりの品物をお贈りすることになったのである。
僕はその課の人たちと一緒に仕事をしている関係から、花束贈呈式に出席することになった。
指定された部屋に行くと、すでに課内で働く人がほぼ全員揃っていた。
僕はビックリした。いままでほとんど気にとめていなかったのだが、うちの課には、非正規雇用の方も含めてたくさんの人々がいたのだ。
(これだけ多くの人に支えられていたのか…)
1年経ってようやく気づいた自分が恥ずかしくなった。
もう一つビックリしたことは、うちの課は、非正規雇用の方が大半を占め、しかもそれが全員女性であるということである。
これが、この国の社会の縮図というものか…。
うちの課で退職されるのは4人。そのうち正規雇用は二人で、二人とも男性。一人は定年退職、一人は早期退職である。
あとの二人は非正規雇用で、二人とも女性である。いずれも家庭の事情により、任期を待たずして辞めることになった。家庭の事情を優先して辞めざるを得ないのは、やはり女性の方なのである。
これもやはり、この国の社会の縮図である。
僕は複雑な気持ちになった。
僕は最初に挨拶をさせられ、これまでお世話になったことに対して、感謝の言葉を述べた。
その後、4人が順番に挨拶をした。何人かの方が、「在職中は人に恵まれました」と言った。
息苦しい職場だなあと思っていただけに、その言葉は意外だった。きっと、僕がまったく知らないところで、課内の人たちはお互いを助け合い、気を遣いあいながら仕事をしてきたのだろう。
僕はこの1年間、いったい何を見てきたのか。何も見えていなかった、いや、何も見ようとしなかったのではないだろうか。
明日もまた辞令交付式である。今度は着任される方の辞令交付式。
風通しのいい職場、人に恵まれる職場になることを、願うばかりである。
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