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ひとり新聞社

3月8日(月)

新聞記者、という話でつながるのだが。

こんどはTBSラジオ「荻上チキ Session」のラジオクラウドを聴いていたら、「東日本大震災から10年」の特集として、岩手県大槌町で、「大槌新聞」をひとりで発行している菊池由貴子さんという方がゲストだった。

岩手県大槌町は、人口が1万人あまりの町である。菊池さんは震災後、自分の住んでいる大槌町に「地域紙」すなわち地元の新聞がないことを憂いて、自ら新聞を作ろうと決意する。新聞記者になるなら、どうしたらいいのだろう?まずは新聞記者の「七つ道具」みたいなものをそろえることから始まった。パソコンだとか、ICレコーダーとか。

え、そこから?という感じなのだが、もっとスゴいのは、菊池さんは最初、ワードやエクセルの使い方も知らなかったという。まさにゼロからの勉強である。新聞作成アプリを使ったりして、大槌新聞の創刊号が発行されたのは、震災から1年以上たった、2012年6月のことだった。そこから週1のペースで、大槌新聞は発行され続けた。取材、執筆、編集はすべてひとりである。つまり、ひとり新聞社。

しかし、菊池さんの地域紙の取り組みは、一筋縄ではいかない。最初は国からの助成金をもらっていたので、無料配布していたのだが、助成金が打ち切られ、有償配布を余儀なくされた。町内の政治的な対立に巻き込まれることもあった。しかし、この町で知りたいことを追求するためにはこの地域紙しかないということで、さまざまな葛藤を経ながら、続けてきているのである。

地域のジャーナリズムとは何かとか、いろいろと考えさせられるのだが、ひとりの生き方としても、考えさせられる。

いま僕は組織の中にいて、組織の中で働くことに嫌気がさすことがある。ああ、フリーランスになりたい、と、一日に何度かは思うのである。でもその勇気がない。

自分だったら、「ひとり新聞社」ができるだろうか?趣味ていどだったらできるかもしれないが(実は、「ひとりラジオ」をやるのが夢である)、これを信念を持って続けられるかというと、そこまでの自信や体力がない。

でも、「ひとり○○」というのは、憧れるんだよなあ。みなさんは、「ひとり○○」の「○○」に、何を入れますか?

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