上司は思いつきでものを言う
3月9日(火)
『上司は思いつきでものを言う』という本を書いたのは、橋本治だったか。
今日のオンライン会議ほど、そのことを身にしみて感じたことはない。
昨年10月頃から、コロナ対策の一環としてある対応をすることになったのだが、その実施方針を、時間をかけて、社長や副社長にも根回しをしながら、ようやく合意にこぎつけたのが昨年末。社員に向けて、その実施方針を示した。
この間、何度も社長や副社長に原案を突き返され、若い主任と二人であれこれと修正を加えながら、ようやく合意に至ったのである。あとは、具体的な実施方法を作るのみである。
これについても、若い主任と二人で、なるべく足下をすくわれないような、周到な実施方法を考えた、つもりであった。
ところが今日のオンライン会議で、社長や副社長から、
「実施する意味がよくわからない。やめるべきだ」
と言われたのである。
ええええぇぇぇっ!!!まさかの、ちゃぶ台返し?
ま、ちゃぶ台返しはこれまでもあったことなので、さほど驚くことではないのだが、しかし最後の最後になってこうなるとはねえ。
僕は頭に血が上って、
「じゃあ、撤回します!」
と大見得を切ってしまった。これがいけなかった。
長い長いオンライン会議のあと、うなだれて廊下に出ると、会議に陪席していたベテランの部長から、
「撤回してはだめですよ」
と言われて、ハッと目が覚めた。
そうだ、僕はあの場でもっと、噛んで含めるように説明しなければならなかったのだ。つまりすべては、僕の説明不足のせいである。
「上司は思いつきでものを言う」という、橋本治が掲げたテーゼにしたがって考えると、戦術を間違っていたのは僕の方だったのだ。
そのことに気づいたとき、僕は取り返しのつかないことを言ってしまった、と思った。
でもなあ、あんな言われ方をされて、冷静を保てる人は、よっぽど胆力のある人だぜ。
とにかく僕は、ここまで一緒に作ってきた若い主任に申し訳ないと思うばかりだった。
すると、僕がうなだれている間に、若い係長と若い主任が話し合いをしたらしく、
「戦略を立て直しましょう。まずは僕らで説明資料を作りますので」
と言ってくれた。
ベテランの部長からは、
「とにかく揉めないように」
とのアドバイス。
根気よくやっていくしかない。
「いろいろな問題が起こるねえ。力不足で申し訳ない」と僕が若い主任に言うと、
「少しでも、(事態が)前に進んでくれるといいんですがね」
「そうだね。少しずつでも進めていこうよ」
と、仕切り直すことにした。日々、こんなことばかりである。
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