電凸小噺
再び鬼瓦亭権三(ごんざ)でございます。
世の中、わからないことだらけですなあ。
SNSを見ていたら、「電凸」という言葉が出てきて、これがよくわからない。
「ご隠居、わからねえことはご隠居に聞けばわかるってねえ」
「なんだ熊公か。まあおまえよりも長く生きてるから、多少のことは知ってるぞ。隠居ベディアがおせーてやろう」
「晴の輔かよ!まったく…。いえ知りてえのは、『電凸』って言葉でして」
「『電凸』…?」
「ご隠居、まさかご存じないんじゃ…?」
「何を言う。知らないわけがないだろう」
「そもそも、何て読むんです?」
「いま、何て読むって聞いたか?」
「ええ」
「凸というのはな、凸凹、つまりデコボコのデコと読む」
「するってえと、『電凸』は『デンデコ』ですかい?」
「そうだ」
「デンデコ…。デンデケ…。青春デンデケデケデケ!」
「何くだらねえこと言ってんだ」
「でんでん太鼓」
「もっとくだらねえよ」
「じゃあ何です?教えてくださいな」
「電池にはプラスマイナスがあるだろう。電池のプラスの方のことを電凸という」
「なるほどねえ。じゃあ電池のマイナスの方は電池の電に凸凹の凹で、電凹だ!」
「そうだ」
「何て読むんです?」
「電凸がデンデコなら、電凹はデンボコだろう」
「デンボコねえ。チ…あ、いけねえ」
「おいおい!」
「しかしご隠居、日常生活で、電池のプラスとかマイナスとか、頻繁に使いますかねえ」
「使うだろう。電池の交換の時なんかに」
「それにしては妙なんですね。あっしが見たSNSでは、『あいつを辞めさせるために職場に電凸しろ』『いや、電凸すると職場に迷惑がかかるからやめた方がいいよ、職場に罪はない』『職場は、あんなやつを許しておいていいのか!』『電凸だと職場に負担がかかるからせめてメールやファックスにしとけ』みたいな感じで炎上していたんですよ」
「うむ。たしかに電池のプラスと解釈したらおかしなことになるな…。まてよ。凸は形が爆弾に似てないか?電凸とは、電気仕掛けの爆弾のことだよ」
「なるほどねえ。爆弾か。『あいつを辞めさせるために職場に電気仕掛けの爆弾を仕掛けろ』『いや、電気仕掛けの爆弾を仕掛けると職場に迷惑がかかるからやめた方がいいよ、職場に罪はない』『職場は、あんなやつを許しておいていいのか!』『電気仕掛けの爆弾だと職場に負担がかかるからせめてメールやファックスにしとけ』…て、最後のところ、爆弾をやめてメールにしろってのは、落差がありすぎませんか?」
「それもそうだな…。凸はトツとも読むぞ。電凸は『デントツ』と読むんじゃないか?」
「なるほどご隠居…。いまスマホで『デントツ』と入れたら『電凸』と変換されました。これですよ!…で、意味は何です?」
「凸が煙突の形をしているだろう。『デントツ』とはつまり電気煙突のことだ」
「ますますわからねえや。ご隠居、そろそろ本当のことを教えてくださいな」
「エヘン、『電凸』とは、企業とかマスコミとか政治団体とかに電話して、組織の見解を問いただすことを言うのだ。」
「なるほどねえ。それならつじつまが合う。なんだご隠居、知ってたんじゃないっすか。いよっ!さすが隠居ペディア!」
「いや、ウィキペディアに書いてあった」
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コメント
「ご隠居いますか?」
「また来たね」
「SNSを見ていたら「おぷちゃ」という言葉が出てきてね、よくわからないから、聞きに来た」
「それなら今飲んでるよ、お前も一杯どうだい」
「それはこぶちゃ」
「ああ、聞き違えた。八ちゃんの娘ももうすぐ3歳だからトイレばかりで遊ばせないで、STEMでも買ってやらないと」
「それはおもちゃ」
「タラの塩辛をコチュジャンベースの合わせ調味料で漬け込んだ」
「それはちゃんじゃ」
「酸味・苦味・甘味・辛味・塩味の5つの味が含まれた飲み物で」
「それはおみじゃちゃって、どうも隠居ペディアでもわからねえことがあるみたいだから、長屋に戻ったらLINEのオープンチャットに聞いてみます」
「ちんちゃ?」
「ちぇみ おぷちゃな」
投稿: 🐢 | 2021年3月24日 (水) 16時00分