お札を干す
3月14日(日)
久しぶりに、オンライン会合のない土日である。
この週はいろいろあったから、精神的にもまいってしまい、この土日は仕事のことは一切考えないことにした。というか、これからは、仕事以外の時間は仕事のことを考えずに、本を読むとか映画を観るとか、自分の好きな時間に使わないと、メンタルがやられてしまう。
日曜の午前は、もうすぐ3歳になる娘を連れて、公園に行くことにした。
最近娘がはまっているのは、家から歩いて20分ほどかかる「タイヤ公園」という公園である。もっとも「タイヤ公園」という呼び名は、娘が勝手にそう言っているだけで、正式な名称は別である。そもそもその公園には、タイヤがない。娘がなぜその公園を「タイヤ公園」と呼んでいるのかは謎である。
娘がその公園のことを好きなのは、遊具がたくさんあるからである。うちの娘に限らず、どの子どもたちも好きみたいで、そんなに広い公園ではないのだが、いつも親子連れであふれかえっている。密なのだ。
ふだんは妻や、近くに住む姪なども一緒に行くのだが、今日は事情があり、私と娘の二人だけで公園に行くことになった。
不安なのは、公園までの道のりにトイレがないことである。もちろん公園にもない。薬の副作用で、突発的にお腹がくだることがある僕にとっては、不安でしかない。もしそうなったときに、娘を誰かに預けて、少し遠くにあるスーパーマーケットのトイレに駆け込む、ということができないのだ。しかしまあ仕方がない。
僕は、自分の鞄に、自分の財布と、公園で遊んでいて娘が喉が渇いたときのために「おでかけストローマグ」に麦茶を入れたものを入れて出発した。
「おでかけストローマグ」というのは、蓋やストローがついている幼児用のコップのことで、落としたり倒したりしても、こぼれることのない工夫がされている。なので出かけるときには重宝なのである。ただ、いくつかの部品からなっていて、それを毎日分解して洗っているのだが、持って行くときは、それを組み立てないといけない。
出かける直前に、僕はそのバラバラになった「おでかけストローマグ」を組み立てて、そこに麦茶をなみなみと入れて、それを肩掛け鞄に入れて出発した。
20分ほどかけて娘と歩き、公園に着いた時には、すでにたくさんの親子連れで密な状態になっていた。
公園を見つけた娘は遊具に向かって走り出し、いくつかあるすべり台をさっそく楽しんでいた。
僕は最初は娘の近くから目を離さずにいたのだが、そのうち疲れてきちゃって、目の届く範囲にあるベンチに腰を下ろした。
すると、ズボンがなぜか冷たい。
(ベンチが濡れているのかな?)
と最初は気にもとめていなかったのだが、立ち上がって肩掛け鞄を触ると、鞄の底の方がぐっしょりと濡れている。
(うわ!なんじゃこりゃ!)
急いで鞄の中を開けてみると、「おでかけストローマグ」の中にあったはずの麦茶が、なくなっているではないか!僕の組み立て方が甘かったのか、麦茶は「おでかけストローマグ」から漏れ出して、鞄が麦茶まみれになってしまったのである。そしてそれがズボンに伝わり、ズボンまで湿ってしまったのだ。
そこからはもう、テンションがガタ落ちである。もうこうなると、早く家に帰って鞄とズボンを洗濯したいということしか思い浮かばない。
「もう十分に遊んだでしょう?」
と娘に言って聞かせ、公園をあとにして、20分かけて帰宅した。
あらためて鞄の中をのぞいてビックリした。
財布の中のお金やらカードやらが、すべて水浸しではないか!
僕は不安症なので、財布にはいつも余裕を持ってお札を入れているのだが、そのお札を財布から取り出したら、すっかり水分を吸ってふにゃふにゃになるばかりか、財布の中でお札がみんなピタッとくっついてしまっているではないか!枚数を数えてみたら、1万円札やら千円札やらが合わせて12枚もある!
僕は、お札が破れないように、慎重に一枚一枚をはがした。もちろん財布も水浸しである。
(これをどうすればよいだろう)
困った僕は、ベランダにある、洗濯バサミがたくさんついている物干しハンガーに、1枚1枚洗濯ばさみに挟んで干すことにした。ふだんは靴下だのパンツだの、汗拭きタオルなどを干している物干しハンガーである。
初めてだな、お札を洗濯ばさみに挟んで干すのは。
1万円札だの千円札だのを1枚1枚干していて、なぜか、札束で汗を拭く東MAXのギャグを思い出した。知らない人が見たら、まるで汗拭きタオル代わりに使った札束を洗濯して干しているように思われるのではないだろうか?
あるいは、「マネーロンダリング(資金洗浄)って、本当にお札を洗うことだと思ってるのかよ!」と思われるかもしれない。
…といった被害妄想がよぎる。
幸い、今日は日差しも強くて、お札も財布もすぐに乾いたのだが、その感触は、バリバリというべきか、ゴワゴワというべきか。
今日の教訓は、「おでかけストローマグ」を組み立てて麦茶を入れたときは、いい加減に組み立てずに、倒しても本当にこぼれないか、出かける前に入念にチェックする必要がある、ということである。
| 固定リンク
« もしイタ | トップページ | 無伴奏のチェロ組曲 »
「育児」カテゴリの記事
- いっぽんでもニンジン(2024.09.04)
- ゲリラ豪雨と学童(2024.08.22)
- なつまつり(2024.07.29)
- ラブレター(2024.07.27)
- 図書館活(2024.07.22)
コメント