エンタメは私を救う、あるいは…
エンタメは我が身を助く
もしくは、
人生変えちゃうエンタメかもね
…と、タイトルに迷った。
5月18日(火)
月に一度の全体会議で、すっかり疲弊してしまった。
そういえば、先日ラジオクラウドで聴いたジェーン・スーと堀井美香アナウンサーの「OVER THE SUN」(ポッドキャスト配信番組)で紹介されたメールは、なかなか衝撃的だった。メールのテーマは「人生の転機」。
東北地方の田舎町で、10歳の時に人生に絶望し、28歳まで軽い引きこもりだった女性が、ある日どういうわけか思い立ち、渋谷で上演されている「熱海殺人事件モンテカルロイリュージョン」という芝居を見に行くことになる。理由はわからない。別につかこうへい作品のファンでも、主演の阿部寛のファンでもないのに。
ところがその1本の芝居が、彼女の人生を変えた。
彼女は芝居を観ている2時間、ずっと泣きっぱなしだった。芝居を観て、自らの人生をふりかえり、早く終えてしまいたいとばかり思っていた自分の人生を、「それでも生きていかなくてはいけないのだ」と強く思い直すようになる。
そこから彼女は、どうやったら一人で生きていけるかを真剣に考えるようになる。
東北の田舎町では、職歴のない28歳の女性を雇ってくれるところはない。そこで、そのころ広がり始めた、手っ取り早く仕事をもらえそうなパソコンの文字入力を覚えはじめ、東京へ出て派遣社員をしながら正社員の口を探し、ITベンチャー企業に潜り込む。しかしITベンチャー企業のなかには、経営が危うかったり無理な働き方をさせたりするところも多い。会社が潰れそうになったら、ほかのIT企業に移り、ということをくり返し、10年間で少しずつスキルアップしながらマシな会社へと転職し、8回転職した末に、いまの会社に落ち着き、数年前には自力でマンションを買うことができるまでになった。
…どうも文章だと伝わりにくい。やはり堀井アナのメール読みでないとね。
とにかくここで言いたいのは、1本の芝居がその人の人生を変えた、ということだ。
1本の芝居に救われた人生。それでもエンタメは、不要不急と言えるのだろうか?
「人はパンのみにて生くるものにあらず」
そういえばむかし、こんなことがあった。「前の前の職場」でのことである。
詳しい経緯はすっかり忘れてしまったのだが、その日は学生たち数人と、外で何かイベントを計画していたのだが、あいにくの大雨で、外で行事をすることができなくなった。
仕方がないので、学生たちと一緒に演劇のDVDを観ることにした。僕がそのときに持っていた三谷幸喜作・演出の「バイマイセルフ」というタイトルの演劇と、「グッドニュース・バッドタイミング」というタイトルの演劇のDVDだったと思う。
視聴覚室に大きなスクリーンがあるので、せっかくだからそこに投影して観ることにしよう、ということになった。
こういっては失礼だが、20年前の田舎町の学生だから、演劇の舞台というものを、それまでほとんど観たことがない。
観終わったあと、学生のうちの一人が、ひどく興奮しながら、
「私の人生、変わっちゃうかも」
と言った。どちらかと言えば地味な印象の学生だったが、演劇を観て衝撃を受けたらしい。
もう名前もすっかり忘れてしまったが、いまはどうしているのだろうと、堀井アナが読んだメールの内容を聴きながら、そんなことを思い出した。
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