難易度の高いすべり台
5月16日(日)
緊急事態宣言下だと、娘と遊びに行く場所の選択肢がことごとく封じられ、結果、近くの公園くらいしか行くところがない。
ま、緊急事態宣言下でなくても、遠出をするのが面倒くさいのでもともと近くの公園に遊びに行くくらいしか選択肢はないのだけれど(どないやねん!)。
今日も半日、実家の近くの公園で3歳になる娘と過ごしたのだが、毎週のように通っていると、ただでさえ遊具が少ない中で、さすがの娘も飽きてしまっているのではないだろうか、といささか心配になる。
しかも、3歳になったばかりの娘が楽しめる公園の遊具というのは、かなり限定されている。もう少し上の年齢が使うことを想定しているものが多い。
実家の近くにある公園の一つは、高速道路の高架下を利用した公園である。今日は少し空模様が怪しかったので、その公園に行くことにした。
そんなに広くない公園なのだが、今日は小学生低学年の男子たちの数が異常に多く、しかも狭い公園の中で、ギャーギャー大騒ぎをしながら、野球をしたり、鬼ごっこをしたりしている。それがまあ、「野蛮」という表現がぴったりの遊び方をしているのである!
俺が小学生の頃も、あんな野蛮だったかなあ?
すっかり圧倒されてしまい、帰りたい気分になったが、娘は帰りたくないというので、我慢して公園で遊ぶことにした。
その公園には、すべり台が二つある。一台は、3歳の娘でも十分にすべることのできるもので、むしろ少し物足りないくらいである。
もう一台は、かなり難易度が高い。すべり台にたどり着くまでに、アスレチック的というのか、SASUKE的なアトラクションというのか、とにかくちょっとした「冒険」をしないと、すべり台の上にたどり着けないのである。ふつうの階段がついておらず、やたら歩幅の広い雲梯みたいなやつとか、やたら格子の1辺の長さが長いアスレチックネットだとか、垂直のボルダリングとか、とても無理なものばかりである。
おそらく対象年齢が5歳以上くらいだと思うのだが、3歳の娘は、手足が短いし、握力も弱いので、いかなる手段を使っても、すべり台の上までたどり着けない。仕方がないので、僕がすべり台の上まで体を持ち上げなければならないのだが、それではおもしろくもなんともない。
しかし、何度か練習するうちに、少しずつひとつひとつのアトラクションがクリアできるようになってきた。
先日は、中央にあるアスレチックネット(写真の①)を、なんとか克服できた。娘の身体からしたら、歩幅が異常に大きいつくりになっているのだが、ネットの側(がわ)のほうのロープをつかんでそろ~りそろ~りと「かに歩き」しながら、すべり台までたどり着くことができたのである。
そうそう、「かに歩き」で思い出したのだが、娘に初めて「かに歩きして!」と言ったとき、娘が両手をチョキの形にしながら歩き始めたときは笑ったな。それはともかく。
で、今日は、歩幅の広い雲梯(写真の②)に挑戦したら、どうやらコツをつかんだらしく、すべり台と同じ高さのところまで上ることができた。
これで晴れて、地上→雲梯→アスレチックネット→すべり台と、誰の手を借りることもなくすべり台までたどり着くことができるようになったのである。
野蛮な小学生たちに囲まれたことに怖じ気づいて帰らなくてよかった。
なんとか半日時間が潰せて、僕はすっかり疲れてしまったのだが、家に帰る途中にあるマンションの1階から、奇妙な叫び声が聞こえた。
「ハジマ!ハジマ!ハジマ!ハジマ~!!!」
おじさんが、ひどく甲高い声を上げて、大声で叫んでいるではないか!
「ハジマ」とは、韓国語で「やめて!」という意味である。どうやら男性が、韓国語で「やめて!」と叫んでいる。それも、かなり命を危険を訴えるような叫び方である。
これは事件なのか?
僕は娘と顔を見合わせた。娘も、その不思議な叫び声に驚いたらしい。
よくよくその叫び声に耳を傾けてみると、
「ハジマ!ハジマ!あと少し!そのまま!そのまま!行け~!!!」
よく聞いたら「ハジマ!」ではなく「8番!」と叫んでいた。
な~んだ。競馬か。
ま、命がけであることは間違いないのだろうが。
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