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中央流砂

松本清張の『中央流砂』は以前に読んだことがあるのだが、細かな内容はすっかり忘れてしまった。

BS日本テレビで、緒形拳主演の「中央流砂」が放送されたので、見てみることにした。1998年に火曜サスペンス劇場の枠で放送された。原作は農水省を舞台としていたが、ドラマでは、経産省へ省庁再編される直前の通産省を舞台にしている。

とある収賄の容疑で検察庁の取り調べを受けた課長補佐の倉橋が、作並温泉で謎の転落死を遂げる。その背後には、自らの権力を守ろうとする岡村局長と、その局長に取り入る業界団体の大物、西による事件の隠蔽工作が存在していた。

主演の緒形拳は、出世とは無縁のノンキャリアの山田事務官を演ずる。岡村局長の下でパワハラに遭いながらいいように利用されている。同じくノンキャリヤ組の倉橋とは懇意だったが、岡村の指示で動いているうちに、次第に倉橋の死に不審を抱くようになる。

岡村と西は、証拠を隠蔽しようとさまざまな画策をする。それだけでなく、残された倉橋の妻を、西の主宰する関連会社へ就職させるなどして、倉橋の妻を取り込もうとするのである。

ドラマを見ればすぐに気づくことだが、いわゆる森友学園の国有地売却問題とそれに絡む公文書改ざん問題の構図と、瓜二つである。公文書の改ざんを命じられて、苦悩のあげく自死してしまった赤木俊夫さんと、残された妻の昌子さんとが重なる。妻の昌子さんは、俊夫さんの死後、財務省の職員に、近畿財務局で働かないかと持ちかけられるが、「佐川さんの秘書ならいいですよ。お茶に毒を盛りますから」と突っぱねた話は有名である。官僚の手口というのは、十年一日の如くであり、多少飛躍的なことをいえば、官公庁でなぜテレワークが進まないのかという問題とも通底していると思う。

ドラマの終盤で、「小官僚」の山田事務官が、倉橋課長補佐が贈収賄について記したメモや音声ファイルを発見し、岡村や西に突きつけるのだが、最終的には「個人的なメモで証拠にはならない」と一蹴され、岡村は罪を免れ、山田は左遷させられる。この手口もまた、今と少しも変わらない。

…と、本当はこういう話を書きたかったのではない。巷間に出まわる松本清張論でいちばん本質を突いていると思われるのは、みうらじゅん先生の「清張スイッチ(もしくは清張地獄)」論である。松本清張は、ミステリー作家ではなく、ホラー作家である、という主張なのだが、それはまた、別の機会に書く。

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